毎回書くたびに私の恥を晒しているこのコラム。私にとって何の得があるのでしょうか。などと悩みつつ、私は前に進みます。

 

風の谷のナウシカも原作マンガで「私達は血を吐きつつ、くり返しくり返し その朝をこえて、とぶ鳥だ!」と言っています。いや、原作のあのシーンの覚悟の深さや言葉の重さと比べれば、私の覚悟などカスですが。マンガ「美味しんぼ」で、主人公の山岡士郎が京都の大金持ち京極さんに提供した渾身の鮎の天ぷらを「山岡さんの鮎はカスや」とコケにされたときのあの鮎の天ぷらよりカスです。

 

# 風の谷のナウシカの原作のあのセリフは本当に素晴らしいので、ぜひ原作で読んでください。
#「山岡さんの鮎はカスや」を直接検索していただけると、当該の場面がたくさん出てきます。

 

まあ、いろいろありますが、そういう失敗談も時間とともに過去になっていきます。

 

英語では
It‘s water under the bridge
というそうです。橋の下に流れる水。つまり、もう戻らない過ぎ去ったもの。という意味です。英語の慣用句で、映画カサブランカにも出てきます。開高健は小説やエッセイで「橋の下をたくさんの水が流れました」という表現をよく使っていました。

 

ちなみに、映画カサブランカにはたくさんの名言があります。

Here’s looking at you, kid.(君の瞳に乾杯)

ひたりの人物がグラスを合わせている手書きのラフな画像。左側に男性(半フルーボガード)、右側に女性(イングリットバーグマン)の下手な絵が描かれてる。

映画カサブランカのワンシーン。

他にも

“Where were you last night?” (昨日はどこにいたの?)
“That’s so long ago, I don’t remember” (そんな昔のことは忘れた。)
“Will I see you tonight?” (今夜は会える?)
“I never make plans that far ahead” (そんな先のことはわからない。)

 

という名フレーズがあります。ハンフリー・ボガードが渋すぎます。今日はじめて覚えた皆さんにおかれましては、今後は是非とも積極的に使っていってください。Here’s looking at you, kid.

 

そんなことを書きたくてタイトルを「英語にツッコミってあるの?」にしたんじゃなかったのを思い出しました。冒頭からフルスロットルで違う道を走っていました。元の道に戻りますね。

 

高校時代を思い出して欲しいんですよ。高校時代、休み時間になると各自休憩したり遊んだり話したりするわけですが、なんとなくその人の周りに人が集まってくる人っていたじゃないですか?いませんでした?とりあえずいたってことにしておいてください。ああいう人って共通項があるんですよ。

 

それは「ツッコミであること」です。大阪人って日常的にボケたりツッコんだりしていると思われてるかもしれません。まぁ、実際にしてるんですが。でも知って欲しいのは基本的にはボケタイプとツッコミタイプに分かれているってことなんです。で、真のツッコミタイプは大体15〜20人にひとりです。そう、ツッコミタイプはクラスにだいたいひとりくらいしかいない貴重な存在なんです。ツッコミは希少価値が高いんです。

 

で、思いついたんですよ。英語でツッコミができれば、自ずと自分がコミュニケーションの中心になれるのではないか?と。

 

ベーシックなツッコミのフレーズとしては以下があり
・なんでやねん
・どないやねん
・ワシかい
この3つで何とかなります(わたし調べ)。何とかならないのであれば、それは練習不足です。

いや、細かいことを言うともっとさまざまなテクニックはあります。そうじゃなくて、上記は基本的なツッコミ概念の活用フレーズであり、古文でいうところの「こ、き、くる、くる、くれ、こい」くらいの基本的な変格活用だという話です。書けば書くほど意味がわからないのでもう書きません。

 

で、上記3つを英語ではなんというのか?生成AIに尋ねてみました。

プロンプトはこちらです。

日本語会話ではコミュニケーションを円滑にするために「ツッコミ」というテクニックが用いられます。基本的なツッコミのフレーズに以下がありますが、これらに相当する英語のツッコミフレーズを教えてください。

・なんでやねん
・どないやねん
・ワシかい

 

で、生成AIの回答がこちらです。

関西ツッコミの「機能」はだいたい (1)即時の否定/訂正、(2)状況確認(説明要求)、(3)意外性の指摘(“自分かよ”) の3つなので、英語も“直訳”より“その場の働き”で当てるのが自然です。定番どころを用途別に出します。

はい、嘘。んなわけない。生成AIの悪いところを煮詰めたような回答です。

でも逆に興味が湧いてきたので続けてもらいます。

 

なんでやねん(=「何言ってんの/どういう理屈?」の即ツッコミ)

軽め〜定番
• What are you talking about?
• No way.
• Come on.
• You’re kidding (me), right?

もう少しツッコミ感(相手のボケを切る)
• How does that make any sense?
• In what world does that make sense?
• What’s that supposed to mean?

ラフで強め
• What the hell? / What the heck?(場面注意)

 

相手のボケを切る? 相手のボケを切るために How does that make any sense? なんて言ったら喧嘩になるのでは?

What the hell? はちょっと使えそうです。そういう意味では、あの小峠さんの「なんて日だ!」はすごいと思います。

 

どないやねん(=「結局どうなの?」の詰め・状況確認)

状況確認(冷静)
• So what’s the deal, then?
• So how’s that work?
• Okay… then what?
• So which is it?(二択/矛盾を突く)

詰める感じ(ツッコミ寄り)
• What am I supposed to do with that?
• How is that supposed to work?
• And that helps… how, exactly?(皮肉寄り)

 

ボケに対して Okay… then what? って。それは俗にいう「ボケ殺し」ではないでしょうか。

かつて私の先輩が頑張って英語論文を書いて投稿した時、「So what?」と一文だけの返信でデスクリジェクトを食らったという神話をきいたことがありますが、それくらい厳しいです。言われた側は心が砕けると思います。

 

ワシかい(=「自分かよ!」の意外性・指名へのツッコミ)

定番
• Me? Seriously?
• Wait—me?
• Why me?

ツッコミ感強め(“オチが自分”)
• Of course it’s me.
• It had to be me, huh?
• So I’m the one (now)?

使い分けのコツ(短い目安)
• 笑い優先で角を立てない:Come on / You’re kidding, right? / So what’s the deal then? / Me? Seriously?
• 理屈の破綻を切る:How does that make any sense?
• 関西っぽいテンポを英語で出す:短く、間を置かず、語尾上げ気味で。

 

生成AIは何もわかっていない。これはツッコミではない。ツッコミはボケを殺すためではなく、生かすために行うものです。

何なんだ、英語。こんな返しをすれば教室で人が集まってくるどころか、周りから人はいなくなってしまう。どうなってるんだ、英語。

 

ところで英語にはボケとツッコミのような会話のやり取りはあるのでしょうか。

ともう一度尋ねてみました。

 

あります。英語圏にも「ボケ⇄ツッコミ」にかなり近い 役割分担 や 会話の型 はあります。ただし、日本語の“定型としてのツッコミ(短い決めフレーズ+高速の間)”ほど 文化的に一般化・言語化されてはいない ことが多いです。近いものを、英語圏でよく使われる枠組みで整理します。

Straight man / Funny man(ツッコミ役 / ボケ役)

いちばん対応が近い古典的な枠組みです。
• Funny man:荒唐無稽・誇張・ズラし(ボケ)
• Straight man:現実側に引き戻す、矛盾を指摘する、間を作る(ツッコミ)

英語圏では “ツッコミ” というより straight man(ツッコミ役) という役名で語られやすいです。

 

本当かい?Funny man(ボケ)とStraight man(ツッコミ)??聞いたことないが? もう何も信じられません。

 

こんな感じで今回も私の国際化はうまくいかなさそうです。 Here’s looking at you, kid.

 

カス度:★★★★★
国際化度:★☆☆☆☆
What the hell?:★★★★★