和氣 早苗(同志社女子大学)
あまりメイクアップに興味がなかった。
昔(バブルの頃?)何度かプロにメイクしてもらったことはある。振袖を着るときとか、ちょっとしたおめかしのときに。でも、いつもなんだかしっくりこなかった。派手になるというか、ケバケバしくなるというか……。だから自分でするときは、いつもナチュラルメイク。すっぴんで外に出ることはなかったけれど、まぁちょっとだけしてるかな、くらいで十分だった。
そんな私が最近、女子力の上がってきた娘たちに触発され、今話題のカラー診断と、それに基づくメイクアップを体験してみた。診断によると、私は典型的な“イエベ秋”とのこと。イエローベースの秋タイプは、マスタード、テラコッタ、カーキなど、深みのあるアースカラーが似合うらしい。
なるほど!だからブルーやパープルのアイシャドウは劇的に似合わなかったのか。ピンクのチークがなんだか浮いて見えていた理由も、この歳になってやっと腑に落ちた。うすっぺらく、軽薄な女に見えてしまったのも、そのせいだったとは―― 理由と対処法が“今になって”わかったことに、私は愕然とした。
施してもらったメイクは決して薄くはなかった。シミやクマなど、年齢肌の悩みはしっかりカバーされているけれど、不思議と浮かずに、顔になじんでいた。うすっぺらさは消え、なんだか“それなりのマダム”に見える……ような気もした。
そこで、使われた化粧品を大人買い。家で改めて使ってみて、またびっくりした。メイク道具って、ものすごく進化してる!クッションファンデにリキッドチーク、マットなのに伸びがよくて塗りやすいリップーーなにこれ!しかも落ちにくい!
いちいち感動する私。だって、今まで買っていたのは、何年も変わらない定番ばかり。気がつけばこの20年、ほとんど同じものしか使ってなかったんじゃない?と思うほどだ。
でも、メイク道具が進化しているのは、よく考えたら当たり前のことだ。この20年、さまざまな技術が進化した。特に我らが情報技術とその応用、そしてUIはとてつもない進化を遂げた。20年前なんて、タブレットはまだPDAだったし、スマホはまだガラケーだったし、SNSもようやく出始めた頃。音楽はまだストリーミングじゃなくて、VODがこれから来る!と言われてた時代だった。そして今、さらにその進化は速度を増している。
……そう考えると、化粧品が進化してないわけがない。本当にすみません、化粧品関係の皆様。こんなにすごくなってたの!?なんて驚いてしまったこと自体、むしろ失礼だった。
こうして、朝の15分(私にしては十分長い)をメイクに費やし、あれやこれやをしっかり隠しながら、いろいろなものごとの進化を楽しもう――と、気持ちを新たにした私です。

これは娘のコスメです