武藤ゆみ子(玉川大学脳科学研究所)
少しずつ感じられる春の気配。
春の訪れを知らせてくれるミモザ。
その明るく黄色い花は、感謝の印。
私が幼稚園に通っていた頃、「将来の夢は花屋さん」と言っていたような記憶はあるが、一体、何がどうなったのか。大学では工学部へ進学し、気がつけば、大学教員として、東京都町田市の玉川大学脳科学研究所で勤務をしている。
東京工業大学を卒業して、10年以上経つが、思いもしないご縁で、ご退官された佐藤誠教授夫妻の家から、1匹の子犬が我が家にやってきた。
私も子ども達の心も子犬に動かされ、
犬との生活は、想像以上に面白いことを知った。
自分の趣味を楽しむ時間や子犬と関わる時間、モノ作り、研究・・・心が動く時間は、少々困難だと思っていても、想像以上に得られるものが大きい。
日々の業務に追われ、ついつい「時間を有効に使う」ということを考え、まるで「時短」に価値があるかのように思いがちである。
時間がかかることでも、心が動かされることは大切に・・
子育てをしながら学ぶということも難しい。
もしかすると、10年遅ければ少しラクができたのかもしれないと思うこともあった。
ただ、それは、自分のペースで、心を動かされることは何かと自問自答するきっかけにもなった。どのようなことも、マイナスばかりではなくプラスの面がある。
プラスの面に注意を向けて、時間を価値があるものに変えていく。
子犬は、無邪気に走りまわる。
思考がシンプルで、嬉しいときには嬉しい顔をする。
その単純な反応に、人の心が動かされる。
ミモザの花は、厳しい冬の寒さに耐えたあとに、太陽のように明るく咲く。
そのような季節の花を楽しみながら、今日も働く。
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玉川大学脳科学研究所のコラボレーションで、脳の教養本を出版しました。ヒューマンインタフェースの分野の発展に貢献できるような教科書として採用ができるような構成となっております。是非、お手に取ってご覧いただければ幸いです。
『教養としての脳』坂上雅道・小松英彦・武藤ゆみ子(編) 共立出版