The 11th International Conference on Human-Agent Interaction (HAI 2023)は、12月4日から7日にかけてスウェーデンのイェーテボリで開催された。今回は対面形式での開催(一部ビデオ発表あり)となり、論文発表またはポスターの形式で発表が行われた。投稿された論文の数は111件、採択率は36%であり、これは過去2番目に多く、また2番目に低い採択率であった。
Elisabeth André氏によるソーシャルロボットの声の実装への取り組みに関するキーノート講演では、ソーシャルロボットの音声合成が難しい理由の一つに、声がロボットの外観や機能と一貫している必要がある点を挙げていた。自然な対話を行うロボットを実現するためには、自然言語処理だけではなく、その先に「ロボットが持つ他の属性との整合性」という課題があることを再認識させられる内容であった。
また、今年の学会テーマである“Human Empowerment and Inclusive Society”に向けた物理会場ならではの取り組みが印象的であった。例えば発表の合間には、「若手」の研究者と「ベテラン」の研究者が経歴の垣根を超えて協力できるような場作りについて、参加者同士で議論するためのInclusion & Diversityセッションが設けられていた。他にも会場には子供連れの参加者が家族と過ごすための個室が用意されていた。
オンライン開催が身近になったからこそ、参加者が一堂に会して議論を交わす対面開催ならではの制約をいかに対処できるか、今まさに模索している最中にいることを感じるものであった。
北海道大学大学院 情報科学院 情報科学専攻 篠原 舞乃
写真1 Inclusion & Diversityセッションの様子
写真2 2日目終了後に行われた懇親会
写真3 会場でのランチタイム(右下が筆者)