土井 美和子
(国立研究開発法人情報通信研究機構/監事、東北大/理事、奈良先端科学技術大学院大学/理事)

 

SDGs(Sustainable Development Goals)という言葉は巷に氾濫しています。写真撮影では、社章はつけなくてもSDGsバッジはつけるように事前に言われます。経済誌にSDGsランキングが掲載されているように、企業にとっても、経済とSDGsを両立することが重要となっています。

 

ロングマン英英辞典によるとsustainableにはable to continue without causing damage to the environmentと able to continue for a long timeの2つの意味があります。SDGsの日本語訳である「持続可能な開発目標」は後者の意味です。

 

長期に持続可能というと、現状維持と思われる方もおられるでしょう。確かについ最近までは、経済は右肩上がりで、前例踏襲で経営していれば、現状維持が可能であったように思います。しかし、現在は、パンデミックやウクライナ侵攻、半導体不足などによる調達困難、エネルギー価格高騰による原価行動など、社会環境には想定外の変化が起きています。このような社会環境の中では前例踏襲ではなく、環境変化に対応すべく企業構造を変化させていかないとなりません。つまり持続可能であるためには、変化し続けることが重要なのです。

 

ヒューマンインタフェース(HI)研究開発の世界も同様と考えます。サブPD(Program Director)を務めるムーンショット目標1では、2050年までに人が身体、脳、空間、時間の制約から解放された社会の実現を目指しています。単に技術的課題の解決だけでなく、未来社会の利用者目線で、倫理的・法的・社会的・経済的(ELSE)課題も含めて検討していきます。遠隔操作により様々な活動を行うサイバネティックアバターを使いこなすHIについて、未来社会の利用者目線で考えることが、変化し続け持続可能性につながるとよいと考えています。
https://www.jst.go.jp/moonshot/program/goal1/index.html

 

https://www8.cao.go.jp/cstp/moonshot/sub1.htmlより引用