西山敏樹(東京都市大学)

 

Facebook等のSNSでつながる皆様は、私が鉄道・バス大好き人間であることを御存知かと思います。趣味的な面では憧れの「開運!なんでも探偵団」に出演し、日本初のNゲージを出品しました。鑑定の先生がつけた金額と自分がつけた金額がピタリと合い、色々な知人からの反響も多くありました。インターネット時代のテレビの威力を見せつけられました。

 

私の勤務する東京都市大学は、五島育英会、つまり五島慶太が大きく育てた大学です。最近までは武蔵工業大学と名乗り、五島慶太という鉄道王が育てた東急グループ、即ち国内でも稀少な鉄道グループの大学です。鉄道大好きな自分が、東急グループの東京都市大学に勤務するのも不思議なご縁です。そして不思議と鉄道が大好きな大学院生、学部生が集まり、私の研究室を毎年多くの鉄道ファンが志望してきます。合宿をやっても鉄道・バス談議に華が咲き、大学院生や学部生と合宿前後に乗り歩き研究と趣味の双方を愉しむ日々が続きます。

 

私の研究室は、東京都市大学の中でも商学に軸を置く社会科学系文理融合学部にあります。文系の学生が主体ですが、都市生活の質的向上を目指し、都市生活者のニーズを知るための社会調査法、都市や建築の社会的合意形成を支援するCADやBIM等、文理の様々な都市生活を研究するための手法を身につけます。都市生活者のニーズに基づく革新的な技術やサービスの企画・提案を行う力は、一定の評価を各方面から得られています。私の研究室は都市生活の質的改善をユニバーサルデザイン、モビリティデザインをテーマに研究します。

 

私の研究室は、基本的に自由です。教員は大学院生と学部生のやりたい研究をサポートするだけです。研究費と人脈を大学院生と学部生に提供し、軌道修正を必要に応じてかけるだけに徹しております。最近の西山研究室は唯一無二の社会実験を積極的に仕掛けております。

 

いわゆる買い物難民が増えていることを問題意識として、鉄道車輛を走るスーパーに仕立てて、駅に停車中に買い物をしてもらう「買い物列車」は、学部3年生が主体の企画・運営ながらグッドデザイン賞、環境省グッドライフアワード・サステナブルデザイン賞(審査員特別賞)に輝きました。東京都市大学と伊豆急行株式会社という東急グループの協働による成果で、東急グループ社会貢献賞も受賞しました。一方、東急グループの上田電鉄株式会社とは、沿線にある五島慶太を生んだ青木村への観光のきっかけとなる特別列車の運行実験も行いました。土産品の案内と販売、鉄道王五島慶太を生んだ青木村や東急の歴史等を通勤電車の車内で行い、通勤型列車での新しい観光支援の有効性を実証することが出来ました。

 

一方、東急バス株式会社とも協働し、コロナ禍等で空いたバス営業所の空きスペースを活用し、地域交流促進のイベントを行い、有効性評価を実施しました。バスの営業所で合唱教室やアロマストーン製作教室、ユニバーサルデザイン講座、バスの楽しみ方講座、大学の出前講義、ビジネス講座、鉄道模型教室等を展開しました。地域で目立つ所にあるバス営業所で都市生活者の交流が実現出来、バス事業者に対する親しみも増すとの結果も得られました。

 

こうした西山研究室の大学院生や学部生の成果は、全国紙や全国ネットのテレビニュースをはじめ、多くのマスコミに取り上げられました。大学院生や学部生が問題発見から解決に向けたアクションリサーチの企画・運営、評価までを主体的にやりぬいたものです。彼らは鉄道やバスが好きだからこそ、辛抱強く続けられました。好きこそものの上手なれで、好きなことを大事にして続けることが、大きな成果に繋がるものと改めて思っている次第です。

伊豆急行で実験を行った「走るスーパー・買い物列車」の様子

伊豆急行で実験を行った「走るスーパー・買い物列車」の様子

上田電鉄で実験を行った通勤電車活用型観光列車の様子

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東急バス虹が丘営業所でのユニバーサルデザイン講習の様子

東急バス虹が丘営業所でのユニバーサルデザイン講習の様子