田中久弥(工学院大学)

 

ごはん大好き!お酒大好き!寒いの大嫌い!新潟生まれの田中久弥です。

新潟と言えばお米ですよね。おすすめはもちろん「コシヒカリ」。炊きたての香りが甘くて、歯ごたえはモッチリ、どんな料理にも合います。子どもの頃の給食は米飯給食が当たり前でした。給食費はお米で収めることができました。社会科の教材もお米でした。高田平野に用水路を作り、お米の生産を向上させた小栗美作(おぐりみまさか)は地元の名士です。地元では、ごはんによく合う旨いものをたくさん知りました。そういう旨いものはだいたいお酒にも合います。地元の祭りや学校行事では、子どもはおにぎり、大人はお酒でお米愛を共有しました。当時の運動会は地域参加型行事でお酒も呑めました。お米愛という言葉があるか分かりませんが、新潟を離れてみて、いっそう自覚しています。

 

ごはんは美味しく炊いて食べたい。お米は実家から低温貯蔵の玄米を取り寄せて、自分で精米して、ガス釜で炊くのが私流です。こう書くと、こだわっているな、と思われるでしょうが、新潟の人は(少なくとも実家の地域では)これが当たり前です。低温貯蔵米は、新米と風味がほぼ変わりません。精米したてが美味しいので、家庭用精米機でこまめに精米しています。ガス釜は美味しいだけでなく、炊飯が早いです。電気釜ですと40~50分かかりますが、ガス釜なら20分くらいで、艶やかで立つようなごはんができあがります。オール電化の波で、新潟でもガス釜から電気釜に変える家が増えていますが、ホームセンターに行けばガス釜が普通に売られています。

 

田中の実家は農家なのか、と思われたでしょう。かつては農家でしたが、いまは田んぼだけ持っている地主農家です。地主と書くとすげーと思われそうですが、後継者がいなくて、田んぼは売れなくて…といった感じです。こういう家はたくさんあります。今は農業を専門にしている方が地域で数人いて、その方に生産委託している状況です。収穫時に米袋で食べる分だけ受け取り、残りを売ります。玄米は藏に貯蔵するのが古いやり方ですが、今は藏を持つ家もだんだん減ってきたので、地域の共同設備で低温貯蔵することが多いです。私が食べるお米はそこから運ばれてきます。

 

新潟はお酒も美味しいでしょう、とよく聞かれます。美味しいです。新潟県には酒蔵が89あります。有名な銘柄がたくさんあります。淡麗辛口が特徴ですが、そうでないお酒も美味しいです。地元の人は地酒を愛しています。お米愛と同じくお酒愛も小さいころから刷り込まれています。酒蔵の同級生もいます。ただ100以上あった酒蔵は減少傾向にあります。かつて大人が飲んでいたあの地酒が、今は飲めないので残念です。

 

なぜ、新潟のお米は美味しいのか。理由はいろいろありますが、新潟特有の雪もそのひとつです。山にたくさん雪が降り積もり、美味しい湧き水がたくさん出ます。用水路を通って田んぼに豊かに水を張ります。また大雪で虫は越冬できず、イネにつく害虫の数が少なくなります。私は寒いのが大嫌いですが、美味しいごはんとお酒のためなら、我慢できます。まあ、寒い時に呑む熱燗が美味しいんですけどね。

 

収穫したコシヒカリ。はさがけと呼ばれる天日干しを再現してみました

新潟の雪の様子。一晩でここまで積もります。数日ほっておくと1階が埋まります