細野 美奈子 (産業技術総合研究所)

 

できたらいいな、と続けば、多くの方々には自然とドラえもんが浮かんでくるのではないでしょうか。リレーエッセイのお話をいただいた際、何を書こう!?と思った私は、まずは先人の皆様から学ぶためにこれまでの連載を読み返してみました。何を書いてもいい、と言われると何を書けばいいのか分からなくなってしまうのはよくあることですが、これまでの皆様の連載を読み返すと今度はネタ被りを避けようとする(そんな必要のない)意識が働き始めてしまい、にっちもさっちもいかなくなってしまいました。そんなとき手元に届いたのがヒューマンインタフェース学会誌。青色の表紙を目にしたときに「これは!?」とひらめきました。意外にもこのリレーエッセイではまだドラえもんのひみつ道具は取り上げられていないようです(2024年3月24日現在)。というわけで、もしかしたら話題の宝庫という意味で禁じ手かもしれませんが、私の欲しいひみつ道具を語る回にしたいと思います。

 

タイムマシン、どこでもドアと、魅力的なひみつ道具はたくさんありますが、今の私が「できたらいいな」と思い描くのは記憶を取り出せる道具です。理由の一つに、小学校の図書館で繰り返し読んだある本の題名も詳しい内容も思い出せないため、手掛かりが少なすぎてずっと見つけられないままでいることが挙げられます。おすすめの児童書を人に紹介する機会が何回かあり、そのたびに頭の中に思い浮かぶあの緑色の表紙の本。何がそんなに良かったかって、シンプルな細線で一筆書きのように描かれたモノクロの挿絵が本当に印象的で味わい深かったのです。あの絵をもう一度見てみたい!ですが自分の画力では画像検索の手がかりも作成できません。何とかしてこの記憶を形にして取り出せないでしょうか。別に全然切羽詰まっているわけではないのですが、時折頭をよぎっては心にひっかかりを覚えることがもう何年も続いています。そこで、今回は折角の機会です。ドラえも~ん!ならぬCopilot先生に聞いてみました。その回答が下の写真です。

 

CoPilotの回答

 

最後の一文に少しイラっとしつつ「こんな道具があるんだー」と思い詳細情報に飛んでみましたが、どれもしっくりきません。3つめの「わすれろ草」にいたっては求めているものと真逆の機能なのに、まことしやかにリストアップされています。Copilotはプログラミングや英作文の際にとても強力なパートナーになりますが、往々にして間違いを織り交ぜながら教えてくるので、使いこなすためには真贋を判断する能力が必要とされることをこんなところでも実感します。閑話休題。ドラえもんだもの、もっとドンピシャな道具があるはずでは?と思い、今度はGoogle先生に「ドラえもん 道具 記憶 取り出す」と聞いてみました。すると出てきました!「記憶とり出しレンズ~!」思い出したいことを念じると鮮明な映像として思い出し、投影することもできるそうです [1]。これこそ求めていたひみつ道具です!よかったよかった。これを持って図書館に相談に行けば、きっと目当ての本が見つけられるでしょう。いつかこんな未来が実現するといいなと思いつつ、続けて画像検索もしてみると、立ち読みした漫画の内容を投影して見せているのび太くんが出てきて何ともいえない気持ちになりました。

 

というわけで、もしもリレーエッセイのネタ探しでこの回を読まれた方がいらっしゃいましたら、あなたの欲しいひみつ道具もぜひ教えていただけませんか?

 

[1]「ドラえもんのひみつ道具(きあ-きも)」(2024年3月24日(日)13:38 UTC)『ウィキペディア日本語版』