神田 智子 (大阪工業大学 情報科学部)

 

 

執筆依頼を受けたのは3月下旬、ロードバイクで奄美大島を一周している最中でしたので、趣味であるロードバイクによる島旅について書いていきたいと思います。

 

毎年年末と春休みには奄美群島や先島諸島へ自転車旅に出かけています。自転車を飛行機で運べるの?という質問をよく受けますが、ホイールを外して輪講バッグに入れれば、無料で運んでくれます(LCCは有料)。自宅から空港まで自転車で行き空港前で解体、目的地の空港前で組み立てて出発、とフットワークの軽い旅ができますよ。ただし、サドルバッグの容量は6-7Lなので、自転車修理キット、電池、非常食、必要最低限の服(毎日洗濯が基本)のみ持っていきます。

 

これまで一周した南西諸島の島々は、

・宮古列島、石垣島、小浜島、黒島、西表島、波照間島、与那国島

・奄美大島、徳之島、沖永良部島、加計呂麻島、喜界島、種子島

です。どこも、魚介と焼酎がおいしい地域ですね。島時間にゆうるりと身体と精神をゆだねながら、無理のないペースで走り、早めの時間から地元の居酒屋で焼酎と肴を堪能し、翌朝ペダルを踏んで汗とともにアルコールを飛ばすのが島旅の醍醐味なのです。

 

さて、今回の奄美大島の旅の話に移りましょう。空港からまず北端に上り(図1)、奄美大島の観光スポットに立ち寄りながら、外周を左回りする自転車旅を始めました。北部は比較的穏やかなアップダウンの地域で、サーフィンに適したセットの波が入る海岸線を走ります。呼吸するために顔を出すウミガメ、ザトウクジラの尾ひれなどが見えたらラッキーです。西郷隆盛の流謫地である龍郷町を経て、名瀬町で1泊(走行距離60㎞、累積標高900m)。

翌日は、名瀬からさらに西へ。宮古崎はNHK大河「せごどん」のオープニングに使われた場所で、すばらしい展望がおススメです! 宮古崎を超えたあたりから、島南部のアップダウンが始まります。200m級の峠が3つあり、ひたすら上り下りを繰り返します。大きな集落は宇検村までありません。宇検村には「やけうちの宿」という宿泊施設があり、食堂のエビフライとハンバーグ定食は格別のおいしさです! また、この村にはフォトジェニックなスポットとしてガジュマルに覆われたレトロなバス停があります(図2)。

宇検村からさらに大きな峠を2つ超えれば瀬戸内町につきます。ここは大島海峡に面した美しい町です。対岸にはサンゴの産卵で有名な加計呂麻島が見え、リアス式海岸とアマミブルーの風景が疲れた体を癒してくれます。瀬戸内町古仁屋港泊(80km, 1500m up)。

3日目は、フェリーで20分程度の加計呂麻島に渡ります。この島はほぼ2kmおきに14%の斜度の上りがやってくる、サイクリストの心を完全に折る島ですが、その労に報いられるだけの風景が広がります。岬を超えるたびに大島海峡が様々なアマミブルーの色合いを見せてくれます(図3)。古仁屋港に戻り(40km, 900m up)、次の目的地である喜界島にフェリーで渡ります。おっと、ここまでで規定の文字数を超えてしまったようですので、続きは皆様をお会いした時に語らせてください。

 

おまけ1:おススメする奄美黒糖焼酎は黒糖の香りとコクを感じる「長雲一番橋」です。黒糖焼酎をシェリー樽で寝かせた「まぁさん」は口当たりがよく飲みだしたら止まりません。

 

おまけ2:本島から南西諸島への大型航空機による自転車の運搬は問題ないと思いますが、離島から離島への小型航空機や小型フェリーによる運搬は、ディスクブレーキ車やカーボンフレーム車は避けたほうがいいと思います。私は離島旅にはアルミフレームのリムブレーキ車を持っていきます。

 

では、本原稿を提出したら、GWに隠岐諸島に行ってきます!

 

奄美大島北端の笠利崎灯台

図1:奄美大島北端の笠利崎灯台

宇検村にある田検バス停

図2:宇検村にある田検バス停(妖怪のケンムンがいると伝えられています)

加計呂麻島の展望場所、夕日の丘。大島海峡と美しい実久ビーチが見えます。

図3:加計呂麻島の展望場所、夕日の丘。大島海峡と美しい実久ビーチが見えます。