(2021年1月31日(日)締め切り)

 2019年度に開催されたヒューマンインタフェース学会の年次大会で学会設立20周年企画があり、そのテーマは「弱いロボット×不便益×仕掛学」でした。本特集号では、このテーマと接点のある論文を幅広く募集します。さて、接点と言われても、どのような接点がありえるのか、考えてみます。

 弱いロボットは、なんでも人の代わりに“やってくれる”強いロボットとは違い、人に“やらせてくれる”ロボットです。たとえばゴミ箱ロボットは、「ゴミ箱のような外形と、ゴミをみつけたら近寄って近くの人にペコリとする動作」というインタフェースを使って、人はゴミを拾って投げ込みロボットはそれを受けるというインタラクションを発生させます。

 不便益は、ユーザが手間をかけるという経験から得られる益を意味します。一般に手間がかかることは不便なこととして忌避され、排除する方向でインタフェースはデザインされます。一方で不便益は、忌避するどころか逆に積極的に利用して、手間から益を得るという考え方です。この場合、手間の価値を顕在化するインタフェースが望まれます。

 仕掛学は、ユーザに謀らずも行動(経験)を起こさせる方法の学問です。仕掛けとは、行動経済学ではナッジと呼ばれる概念に近いのですが、なにも経済とつなげる必要はなく、インタフェースデザインにも適用できます。強制するのでもインセンティブを与えるのでもなく、間接的ですが緩やかに、インタフェースに仕込まれた仕掛けはユーザの行動を促します。

 以上の「弱いロボット・不便益・仕掛学」のいずれか一つと接点のあるテーマでの研究はもちろん、三者に通底する方向性を共有する研究なども、幅広く募集します。通底すると言っても、特集号のタイトルにもしている「効率性と直交する価値のインタフェース」という抽象化した方向だけでなく、逆に「不便にするという仕掛けで人にインタラクションを誘うロボット」というANDをとった方向なども考えられます。

論文誌編集委員会

論文投稿締切日

2021年1月31日(日)

特集号編集委員

 泉 朋子(立命館大学)
 岡田 美智男(豊橋技術科学大学)
◎川上 浩司(京都大学/京都先端科学大学)
 北村 尊義(立命館大学)
 西本 一志(北陸先端科学技術大学院大学)
 平岡 敏洋(東京大学)
 他追加予定

(50音順 ◎印は編集委員長)