第205回ヒューマンインタフェース学会研究会は「サービスデザインの検証:定性評価・定量評価の計画・実践・考察について考える」をテーマとして、2023年11月9日にオフライン/オンラインハイブリッド開催されました。(オフライン会場: NTTテクノクロス社会議室、オンライン会場:Zoom Web会議サービス)。

かねてよりサービスデザインの検証ではフィールドワークを中心とした実践主導の評価が多く、条件の統制や実験後の評価項目の追加、再現性の証明が難しく、評価方法の体系化がされていないという課題がありました。また、研究報告における評価項目や結果、考察の妥当性に関連して、属人性の問題も指摘されています。そこで本研究会では、表立ってサービスデザインの評価方法について発表・議論することで、これまで曖昧にされてきたサービスデザインの検証における共通の視点を得ることを目標としてこのテーマを設定しました。
一般講演ではサービス評価手法やフィールドでの事例研究、新たな評価メソッドなど、実践や調査事例をベースに深く掘り下げた分析を行なった4件の発表があり、活発に質疑が行われました。
その後、質的調査と量的調査の比較に関する委員からの話題提供を下地にして、UXSD領域における事例の分析手法について、発表者を巻き込んでの研究討論が行われました。
最後に招待講演として、慶応大学の池谷のぞみ教授から「エスノメソドロジー的エスノグラフィ:プレホスピタルケアの分析を中心として」と題して、UX評価のメソッドの一つであるエスノグラフィのアプローチと、最新の取組みについて講演をいただきました。サービスデザインの領域における調査手法のあり方について、参加者から多様なコメントが寄せられました。
参加者はオフラインとオンラインを合わせて約73名で、理論と実践の関係について多くの示唆が得られた研究会でした。次回の研究会は来年6月にハイブリッドで開催される予定です。

※写真掲載については、すべての参加者の許可を得ました。
新井田 統(KDDI総合研究所)