学術奨励賞
第1回学術奨励賞(2000年度)
第2回学術奨励賞(2001年度)
第3回学術奨励賞(2002年度)
第4回学術奨励賞(2003年度)
第5回学術奨励賞(2004年度)
第6回学術奨励賞(2005年度)
第7回学術奨励賞(2006年度)
第8回学術奨励賞(2007年度)
第9回学術奨励賞(2008年度)
第10回学術奨励賞(2009年度)
第11回学術奨励賞(2010年度)
第12回学術奨励賞(2011年度)
第13回学術奨励賞(2012年度)
第14回学術奨励賞(2013年度)
第15回学術奨励賞(2014年度)
第16回学術奨励賞(2015年度)
第17回学術奨励賞(2016年度)
第18回学術奨励賞(2017年度)
第19回学術奨励賞(2018年度)
第20回学術奨励賞(2019年度)
第21回学術奨励賞(2020年度)
第22回学術奨励賞(2022年度)
第23回学術奨励賞(2023年度)
第24回学術奨励賞(2024年度)
論文賞
第1回論文賞(2001年度)
第2回論文賞(2002年度)
第3回論文賞(2003年度)
第4回論文賞(2004年度)
第5回論文賞(2005年度)
第6回論文賞(2006年度)
第7回論文賞(2007年度)
第8回論文賞(2008年度)
第9回論文賞(2009年度)
第10回論文賞(2010年度)
第11回論文賞(2011年度)
第12回論文賞(2012年度)
第13回論文賞(2013年度)
第14回論文賞(2014年度)
第15回論文賞(2015年度)
第16回論文賞(2016年度)
第17回論文賞(2017年度)
第18回論文賞(2018年度)
第19回論文賞(2019年度)
第20回論文賞(2020年度)
第21回論文賞(2021年度)
第22回論文賞(2022年度)
第23回論文賞(2023年度)
第24回論文賞(2024年度)
研究会賞
第1回研究会賞(2005年度)
第2回研究会賞(2006年度)
第3回研究会賞(2007年度)
第4回研究会賞(2008年度)
第5回研究会賞(2009年度)
第6回研究会賞(2010年度)
第7回研究会賞(2011年度)
第8回研究会賞(2012年度)
第9回研究会賞(2013年度)
第10回研究会賞(2014年度)
第11回研究会賞(2015年度)
第12回研究会賞(2016年度)
第13回研究会賞(2017年度)
第14回研究会賞(2018年度)
第15回研究会賞(2019年度)
第16回研究会賞(2020年度)
第17回研究会賞(2021年度)
第18回研究会賞(2022年度)
第19回研究会賞(2023年度)
第20回研究会賞(2024年度)
特別賞
学術奨励賞
石井 裕 | 岡山県立大学大学院 | 『身体的バーチャルウェーブコミュニケーションシステム』 |
黒田 知宏 | 奈良先端科学技術大学院大学 | 『手の動的拡大による手話アニメーションの可読性向上手法』 |
佐川 浩彦 | (株)日立製作所・ 新情報処理開発機構 |
『手話認識における手動作セグメンテーション方式』 |
塩瀬 隆之 | 京都大学大学院 | 『習熟者の技能継承を指向したインタラクティブ・エージェントの設計』 |
高橋 信 | 東北大学大学院 | 『インタフェース設計におけるComplexity Reduction規範とUserRequirement Specificationの統合』 |
高木 喜次 | 筑波大学 | 『事例知識を用いた日本語点字翻訳と誤り修正支援』 |
大崎 章弘 | 早稲田大学大学院 | 『視線検出機能を有する両眼分離型HMDシステムの開発と映像遅延実験』 |
沼田 啓 | 筑波大学 | 『机型ディスプレイのためのペン型触覚フィードバックデバイスの開発』 |
木谷 寿一 | 工学院大学 | 『読話アニメーションシステムの構築』 |
竹之内 博史 | 慶應義塾大学 | 『実操作実験をもとにした入力機器のデザインと評価』 |
葛西 香里 | 筑波大学 | 『歩行感覚呈示装置の評価手法に関する研究』 |
上原 信人 | 工学院大学 | 『振動フィードバックによる打点確認』 |
伊藤 誠 | 電気通信大学 | 『自動化システムの原理と限界に対する情報不足による過信』 |
辻 隆弘 | 東京理科大学 | 『人間型顔ロボットIII(SAYA)の開発』 |
山田 貴志 | 岡山県立大学 | 『笑いの情動下での動的顔色と表情を伴うバーチャル顔画像合成における顔色の効果』 |
小林 真 | 筑波技術短期大学 | 『視覚障害者のためのマルチメディア漢字学習システム』 |
高橋 はるか | 北海道大学 | 『「復唱」を利用した不特定話者音声認識システムの提案と評価』 |
中尾 恵 | 京都大学医学部附属病院 | 『マウスによる手術プラン入力手法』 |
成田 智也 | 京都工芸繊維大学 | 『携帯情報端末の向きと利用者の覗き込む動作を利用した情報空間ナビゲーション手法』 |
安田 和隆 | 東京大学 | 『透過型ビデオアバタを用いたコミュニケーション・プレゼンテーション支援システム』 |
上田 淳 | 奈良先端科学技術大学院大学 | 『指紋変形を利用した新しいポインティングデバイスの開発』 |
前田 智裕 | 北海道大学 | 『骨導マイクと音声認識による福祉機器遠隔操作に関する研究』 |
福本 麻子 | 慶應義塾大学 | 『統計的手法を用いた絵画の色彩特徴抽出手法と応用の提案』 |
香村 信二郎 | アドミラルシステム | 『メモ書きから清書までシームレスに適応するデジタルペーパーコンセプトの提案』 |
矢入(江口) 郁子 | 通信総合研究所 | 『歩行空間のアクセシビリティ情報を提供する歩行者支援地理情報システム』 |
宮下 純一 | 京都工芸繊維大学 | 『日本語手話翻訳における重文、複文、埋め込み文の言語処理』 |
小林 哲平 | 東京工業大学 | 『運動学的解析による歩行介助ロボット“Walk-Mate”の有効性評価』 |
溝渕 佐知 | ノキア・ジャパン | 『モバイル状況での文字入力におけるソフトウェアキーボードのサイズおよび歩行の効果』 |
青山 憲之 | 慶應義塾大学 | 『眼球運動データを用いた戸惑い状態検出手法の開発』 |
中野 道樹 | 東京大学 | 『光造形による試作モデルを用いた製品ユーザビリティデータの自動計測手法』 |
佐藤 稔久 | 産業技術総合研究所 | 『直進先行車との車間距離がドライバー右折準備行動に及ぼす影響』 |
嶋田 雄介 | 岡山大学 | 『因果関係の説明における人間の簡略化傾向の検討』 |
石井 裕剛 | 京都大学 | 『拡張現実感用広域トラッキングシステムの開発』 |
大野 浩 | NTT | 『体感覚に働きかける情報通信技術(2)-周辺的刺激が体感覚に与える影響の検証-』 |
狩川 大輔 | 東北大学 | 『認知工学的手法に基づく航空システム安全研究(2)-インタフェース評価のためのパイロット認知プロセスシミュレーション-』 |
小松 英寛 | 公立はこだて未来大学 | Scenario Exchange Project シナリオベースドデザインを用いたインターナショナルワークショップ |
末永 剛 | 奈良先端科学技術大学院大学 | 運動視差提示3次元ディスプレイ -絶対距離知覚による評価実験- |
石川 莉子 | 青山学院大学 | 『書字訓練におけるボディイメージ支援技術の開発』 |
梶谷 肇 | 首都大学東京 | 『触覚ディスプレイにおける周波数混合提示法に関する研究』 |
櫻井 智史 | 大阪大学 | 『回転偏光フィルタによる情報可視性制御(1)~原理提案と試作システム構築』 |
鈴木 俊輔 | 日本電気 | スクロールと連動する表示領域分割手法の提案 |
鷲野 浩之 | 三菱電機 | 複数点検出可能なアナログタッチパネル |
岩渕 正樹 | 東京大学 | 『LimpiDual Touch:両面タッチ入力可能な透明インタラクティブディスプレイ』 |
狩川 大輔 | 東北大学 | 『認知工学的手法に基づく航空管制システムに関する研究(3)-管制官認知シミュレータの開発-』 |
細野 美奈子 | 東京大学 | 『ソフトMHアクチュエータを用いた足趾の関節運動リハビリ機器の試作』 |
青木 良輔 | NTT | 『習得しやすい手首動作を用いたテレビリモコン向け文字入力方式の一検討』 |
則枝 真 | 日本電気 | 『FingerKeypad:衝撃検出による指上タップ位置の識別』 |
宮本 雅勝 | 神戸大学 | 『多項目パイメニューのための領域割当てアルゴリズム』 |
宮城 和音 | 京都大学 | 『作業-非作業状態間の遷移を仮定した知的生産性変動モデルの作成』 |
遠藤 祐二 | 早稲田大学 | 『霧スクリーンの多層構造化による3次元的ディスプレイ装置の開発』 |
國貞 智治 | 大阪大学 | 『全方位視覚センサとLEDを用いた手指姿勢推定法』 |
杉原 太郎 | 北陸先端科学技術大学院大学 | 『大学病院における電子クリニカルパスを用いた知識創造』 |
大脇 正憲 | 大阪大学 | 『マルチタッチ入力環境における撓みスクロール・ズーム手法』 |
田中 貴紘 | 東京農工大学 | 『業務中の割り込み拒否度推定可能性の検討』 |
吉田 紀子 | 豊橋技術科学大学 | 『Sociable Trash Box:子どもたちはゴミ箱ロボットをどう捉えたのか-パー ソナルスペースを手掛かりとして』 |
木下 雄一朗 | 山梨大学 | 『街並みイメージの可視化による感性街歩きマップの構築とその効果の検証』 |
五十嵐 敦志 | 工学院大学 | 『日本語文法および漢字構造を考慮した視覚認知記憶課題の検討』 |
大久保 亮介 | 日本電気 | 『HIパターンによる要求明確化手法の提案~要件定義段階への適用』 |
齋藤 晴美 | NTTサービスエボリューション研究所 | 『色の持つ意味とカラーユニバーサルデザインの両立に関する検討』 |
野守 耕爾 | 有限責任監査法人トーマツ | 『製品のデザインに関係づけられた乳幼児のよじ登り行動の計算モデル構築と分析』 |
植松 洋亮 | 上智大学 | 『視覚障害者タッチパネルインタラクションのための指先振動フィードバックシステム』 |
大森 有貴 | 東京大学 | 『ディザ近似に基づく色の数や組み合せを制限しないカラー・ユニバーサルデザイン』 |
國政 秀太郎 | 京都大学 | 『パフォーマンス-認知負荷モデルを用いた精神負荷作業中の複数の認知状態推定手法』 |
大槻 麻衣 | 筑波大学 | 『ステレオ立体視環境での疑似透過知覚に関する心理物理学的検討』 |
近井 学 | 産業技術総合研究所 | 『表在感覚ディスプレイを用いて人工的に惹起される材質感の官能評価』 |
森島 圭祐 | ヤマハ発動機 | 『モーターサイクルライダーの操縦能力評価技術の開発』 |
安見 卓志 | 東京大学 | 『設計者とユーザ間の差異に基づく安全・ユーザビリティ設計手法』 |
山岡 知正 | 島根大学 | 『アスペルガー障がいを持つ児童に対する注意切り替えとワーキングメモリ訓練』 |
白神 翔太 | 山梨大学 | 『Vib+Press:目視不要なスマートフォン画面上のレイアウト認識および選択手法』 |
高橋 佳奈子 | 筑波大学 | 『柔軟物を用いた生活環境における小児用心電位計測デバイス』 |
高田 崚介 | 筑波大学 | 『MonoTouch:複数ジェスチャ認識が可能な単一電極からなるタッチセンサ』 |
山下 直人 | 慶應義塾大学 | 『付随的に与えられる触覚情報が対象の感性的印象評価に与える影響』 |
横田 悠右 | 情報通信研究機構 | 『課題難易度によって変動する反応時間をスパースモデリングにより脳活動から推定する』 |
笹川 真奈 | お茶の水女子大学 | 『貼るだけ探索:RFIDタグの検出履歴を利用した物探し支援システムの提案』 |
遠藤 竜太 | 京都大学 | 『多視点裸眼立体視ディスプレイLuminantCubeの開発と評価』 |
鋒山 健太 | 大阪大学 | 『湿度制御による弱存在感ディスプレイ』 |
上田 樹美 | 京都大学 | 『オフィス環境における知的集中計測のための認知課題の開発』 |
北村 昭彦 | 大阪大学 | 『両眼式及び単眼式拡張現実提示時における中心視負荷が視野周辺の情報処理に与える影響』 |
関 和幸 | 同志社大学 | 『視覚的ノンバーバル情報が視聴者への情報伝達に及ぼす影響』 |
白鳥 翔太 | 東京農工大学 | 『確率的作業持続モデルを用いたPC作業持続時間の予測可能性の検討』 |
横山 正典 | NTT | 『抽象的ロボットアバターが遠隔対話における自己開示量と社会的存在感に与える影響』 |
金田 青瑚 | 工学院大学 | 『運動制御ネットワークに基づいたVRニューロフィードバック』 |
喜多 萌子 | 奈良女子大学 | 『後頸部への皮膚感覚刺激が顔面部の血行及び心理状態に及ぼす影響』 |
及川 智也 | 秋田大学 | 『椎弓根スクリューを使用する頚後方除圧固定術のためのVR穿孔シミュレータの開発』 |
水橋 知寛 | 京都大学 | 『マスキング耐性をもつ情報可聴化のため音の変調効果』 |
三宅 明日香 | NTT | 『視覚障がい者向けナビゲーションにおる頭の中で道順や地図をイメージしやすい案内文生成手法』 |
小川 剛史 | 東北大学 | 『タイムプレッシャー下でのヒューマンエラー発生機構に関する実験的研究』 |
内村 裕也 | 立命館大学 | 『身体性を重視したVR空間操作コマンドとしてのアイジェスチャの試作と考察』 |
田辺 健 | 産業技術総合研究所 | 『非対称振動の周波数の違いによる牽引力錯覚への影響』 |
田中 直登 | 東京工業大学 | 『慣性センサにより推定した時空間歩行特徴によるパーキンソン病患者の分類』 |
木本 充彦 | 慶應義塾大学 | 『グループ対話における人のロボットへの語彙の同調傾向』 |
大島 榛名 | お茶の水女子大学 | 『桿体細胞への情報提示を用いた寝室インタラクション』 |
南野 暖 | 東京大学 | 『支援方法に起因する操作主体感がフローに与える影響』 |
安江 成輝 | 京都大学 | 『視線運動の複雑性分析を用いた製造業における熟練者の注意配分に関する特徴抽出』 |
西村 浩人 | 京都大学 | 『暗黙知抽出を支援するインタビューモデル構築のための相互発話行為に対するニューラル自然言語解析』 |
大塚 日花里 | 京都大学 | 『シミュレーション実験による災害体験時の生体反応に関する研究』 |
山田 美香 | 早稲田大学 | 『全身運動の誘因を目指し癖になる動きの感触に着目した腕の反復的屈伸動作を対象とする実験的ツールの開発』 |
谷山 建作 | 東京大学 | 『自由エネルギーを用いた操作主体感の数理モデルの開発』 |
楊 立衡 | 関西大学 | 『CGキャラクタの動作矛盾における視線情報が行動予測へ与える影響』 |
片岡 優衣奈 | 神戸大学 | 『顔動画像からの心拍推定に基づくファンデーションの塗りムラ検出手法』 |
浅場 渉 | 京都大学 | 『身近な環境におけるVR災害体験が防災の意識に及ぼす影響の評価』 |
村山 真大 | 京都大学 | 『深層学習を用いたデプス画像の精度向上に関する研究』 |
松橋 賢汰 | 秋田大学 | 『軽度認知障害評価のための渦巻き描画課題の副課題の出現タイミングにおける特徴の解析』 |
佐藤 圭哉 | 東北大学 | 統合アプリを用いた危険感受性・敢行性の評価に関する研究 |
山田 和佳 | 東京⼤学 | 『革新的製品の機能の理解に至るユーザの思考プロセスの認知モデリング』 |
長谷川 琳太 | 東京都市⼤学 | 『白杖の利用データを活用した歩きづらさマップ生成システムの実装と評価』 |
張 弘 | 関西学院大学 | 『特別支援学校での現場利用を考慮したボッチャシステムの開発と評価』 |
紀伊 竜実 | 大阪大学 | 『非対称振動刺激による牽引力錯覚と把持力の関係性の評価』 |
磯野 将希 | 東京大学 | 『遅延のある操作系における操作者モデルの提案:能動的推論を用いたアプローチ』 |
論文賞
伊藤 誠(電気通信大学大学院) 稲垣 敏之(筑波大学) |
『マイクロワールドアプローチに基づく状況認識の解析』 Vol.1 No.1 pp.1-8(1999) |
受賞理由: 本論文では、大規模複雑システムにおけるオペレータの状況認識を支援できるヒューマンインタフェースの設計指針を得ることを目標として、状況認識に関わ る因子を実験的に求めている。まず状況認識を阻害する要因としてメンタルワークロードと制御ループにおけるオペレータの位置を抽出し、次いで2種類のイン タフェースデザインに関する実験から状況認識に影響する複数の因子を求め、多様な観点よりヒューマンインタフェースを設計、評価する必要があることを示し た。大規模システムが備えるいくつかの特性を模擬可能なマイクロワールドを実験に用いているのが特徴で、実験データによりその有効性を確認している。本研 究のオリジナリティは、マイクロワールドと呼ばれるシステムを用いて大規模で複雑なシステムのオペレーションインタフェースの設計や評価に役立つ分析手法 の具体例を示し、オペレータの状況認識を支援するためのデザインで考慮すべき因子を明確に与えた点にあり、これには従来とは異なる視点からオペレータの認 識を捉える必要性も示しており、有用性が高い論文である。 |
小磯 貴史((株)東芝研究開発センター) 西田 正吾(大阪大学大学院) |
『緊急時のコミュニケーションモデルに基づいた組織形態評価システムの構築』 Vol.1 No.4 pp.63-72(1999) |
受賞理由: 本論文では、災害時の危機管理に必要なコミュニケーションを取り上げ、発生要因を異にする4種類の基本コミュニケーションに基づいてコミュニケーション モデルを構成する手法を述べるとともに、得られたモデルを利用してコミュニケーションの観点から組織を評価する手法を提案している。コミュニケーションの モデル化に際して、組織における権限、義務、責任などの人的ファクターが考慮され、またこのモデルをベースとして各ノードのコミュニケーション頻度、組織 の人的・物的構造、組織内コミュニケーションの拡がり度などの定量的指標を与えることにより組織形態が評価される。さらにプロトタイプを作成して本手法の 有効性を確認している。本論文のオリジナリティは、これまで定性的議論が中心であった組織形態に関して、人的ファクターを考慮した形で定量的に評価を行う 手法を提案している点にある。また、モデル自体もコンパクトで有用性があり、人間と人工物の関わりあいのデザインを考えていく上で重要な研究成果を提供し ている。 |
渡辺 富夫, 大久保 雅史(岡山県立大学) 中茂 睦裕(東京大学大学院) 檀原 龍正(岡山県立大学大学院) |
『InterActorを用いた発話音声に基づく身体的インタラクションシステム』 Vol.2 No.2 pp.127-135 (2000) |
受賞理由: 本論文は、コンピュータで生成され、ディスプレイ上に表示されるInterActorというアバターを介して、遠隔地間で身体的インタラクションを成立 させる手法に関するものであり、音声入力を手がかりとして身体動作を発生するための身体反応モデルを提案するとともに、InterActorを用いた対話 実験を通してシステムの有効性を検証している。特に、InterActorに聞き手の身体反応モデルと話し手の反応モデルを組み込むことにより、対話者に 人間であるかのように感じられるアバターを実現している。また相手役のInterActorだけの表示に加えて、相手役と自己の双方の InterActorを表示した場合についても評価実験を行っており、後者が全般的によい評価を得られることを明らかにしている。本論文の新規性は、対面 コミュニケーションにおける人間の反応をモデル化して、インタラクションを円滑にする遠隔コミュニケーション支援手法を提案し、その有効性を実証した点に あり、音声データのみに基づいて身体的インタラクションを実現する新たなコミュニケーション環境の構築に大きく寄与するものである。 |
畠山 卓朗(横浜市総合リハビリテーションセンター) 萩原 史朗, 伊藤 啓二, 大久保 紘彦(三菱プレシジョン(株)) 春日 正男(宇都宮大学) |
『赤外線音声情報案内システム』 Vol.3 No.4 pp.163-170(2001) |
受賞理由: 視覚障害者や高齢者の自立歩行を支援するための音声案内システムを提案し、必要なハードウェアを開発して評価実験を行っている。本システムは音声メモ リ、赤外線送受信器などを内蔵した電子ラベルを要所に取り付け、赤外線送受信器を携帯した利用者が電子ラベルに接近した際に適切な情報を音声で伝達するも のである。誘導ブロックや電波を用いる既提案の方式に比較して、ラベルの設置が非常に容易で、個人の生活空間でも利用可能な点を特長とする。ネットワーク によりリアルタイム情報を配信するシステムを設置して、聴覚障害者と高齢者を対象とした評価実験を行い、操作が簡単で、安心感が得られることを示した。本 システムは世界標準を目標としている。本研究のオリジナリティは、赤外線を利用して自立歩行支援システムを作りあげた点にある。また広域リアルタイム情報 への対応、情報管理用インタフェースなど課題は残るが、研究としての完成度は高く、敷設の容易さ、低消費電力、低価格など極めて実用性の高い点が高く評価 できる。 |
塩瀬 隆之(神戸大学大学院) 椹木 哲夫(京都大学大学院) 仲島 晶, 石原 英(オムロン(株)) |
『インタラクティブ技能継承支援エージェントの設計-レンズモデルからみた技能継承の構造分析-』 Vol.3 No.3 pp.201-213(2001) |
受賞理由: 体系化の困難な属人的、個別的の高い熟練者の技能をエージェントを媒介として未熟練者に継承する手法を提案し、実験システムによりその効果を確認してい る。まず技能継承をレンズモデルにより説明し、これをベースとしてエージェントが熟練者から技能を学習する技能抽出と、学習したエージェントから未熟練者 が技能を得る技能継承の2フェーズより成る技能継承支援システムを開発した。エージェントは手掛かり情報からIF-THEN形式のルールに基づいて実行す べき操作を提案し、それに対する熟練者の諾否判断により妥当性の高いルールを学習する。技能継承フェーズでは操作を提案するエージェントとのインタラク ションを通じて未熟練者が作業を実行しつつ技能を習得できる。ICピンの折れを対象とする画像検査システムのチューニングなどにこの手法を適用し、未熟練 者の技能向上を確認した。技能継承という困難な問題を定式化するとともに、支援システムを設計し、実際の問題に適用して有効な結果と知見を得ている点で工 学的貢献度が高く、また非常に示唆に富む研究である。 |
渡辺 富夫(岡山県立大学) 荻久保 雅道, 石井 裕(岡山県立大学大学院) |
『身体的バーチャルコミュニケーションシステムにおける呼吸の視覚化と評価』 Vol.3 No.4 pp.319-326 (2001) |
受賞理由: 対面コミュニケーションでのリズム引き込み現象が知られている呼吸の明示的提示がアバタを媒介とするコミュニケーションにもたらす効果を明らかにしてい る。対話参加者の姿をバーチャルアクター(VA)と呼ぶ身体モデルまたはバーチャルウェーブ(VW)という36個の立方体の配列で表現して相互に提示し、 それを眺めつつ対話するシステムを構築した。対話者の呼吸動作をVA胸部の膨張・収縮、肩の上下運動として、あるいはVWの立方体間の距離として視覚化し たところ、呼吸運動が視覚化されている場合に臨場感、身体の共有感、存在感などで対話者の評価が高くなり、対話者相互の頭部運動の相互相関にも呼吸を視覚 化しない場合との間で有意差が生じた。これらの結果より、相手の呼吸リズムの認識が対話者間の身体リズムの引き込みに有効で、対話の主観評価にもポジティ ブな効果を与えたとしている。呼吸動作の誇張的視覚化を着想し、それから参加者間に身体の一体感や共有感が得られることを示した点に独創性がある。またこ の成果は次世代コミュニケーションシステムの構築に有用な示唆を与えるもので、その意義は大きい。 |
阪田 真己子、柴 眞理子、米谷 淳(神戸大学) | 『舞踊運動における身体メディア情報のモデル構築』 Vol.3 No.4 pp. 45-54(2001) |
受賞理由: 舞踊の姿勢や身振りによって表現される感性情報についての研究であり、舞踏における基本的な7動作を基に実験を行ない、被験者が実際に感じる感性の情報 とよく一致することを主成分分析により見いだした点が独創的である。ロボットを用いた身体運動による感性の表現、コンピュータによる身体運動からの感性認 識などヒューマンモデルの精緻化に有効であり、本学会の論文として貢献度も高い。舞踊学において舞踊で表現されるイメージを客観的・定量的に把握する研究 はこれまであまり進められてこなかったが、主成分分析を用いて舞踊運動の印象に影響を及ぼす運動成分を特定し、それらと感性的なイメージとの間で重回帰モ デルを構築することにより、舞踊における身体メディア情報の認知構造を明らかにした意義は大きい。 |
藤田 光伸、鎌田 実(東京大学) 宮田 圭介(小松製作所) |
『機械操作における認知能力の熟練技能解明とその応用に関する研究』 Vol.4 No.1 pp.67-78(2002) |
受賞理由: 油圧ショベルを例に機械操作時における熟練操作者と非熟練操作者の認知能力の差を意識調査から明らかにし、またシミュレータ装置を介した仮説検証、それ らの知見に基づいた操作支援のガイドラインを示している。研究手法は手堅く、この分野における独創性も高い。熟練技能者と非熟練技能者との基本的な認知能 力の差異や個性を明らかにした点、それらの知見に基づいて操作支援のためのガイドラインを明らかにした点は高く評価できる。現段階はシミュレータ装置を使 用して得られた知見であり、今後は、現実作業での実証などを踏まえて,より高い研究の成果が得られることを期待したい。また、熟練者と非熟練者の認知特性 の違いが明らかになったことで、技能教育のみならず、ユーザインタフェースの設計においても様々な知見が得られており、有用な情報を提供しているといえ る。全体として、内容が充実しており、得られた結論も充分納得できる。建設重機の操作という比較的特殊なタスクを対象としていることから直接的な貢献は少 ないとも考えられることに対しても、熟練者は非熟練者より広い範囲の認知チャンネルを有効利用しているという、より普遍的な結論を得ている点が貴重であ る。 |
矢野 博明、葛西 香里、斉藤 秀之、岩田 洋夫(筑波大学) | 『ロコモーションインタフェースによる歩行感覚の共有』 Vol.4 No.2 pp.27-34 (2002) |
受賞理由: バーチャル空間の歩行感覚を提示して歩行移動のリアリティを提供する装置をコミュニケーションに応用しようとする研究であり、歩行感覚の共有というコン セプトは独創的で、特にインタクションにより歩行の同調の可能性も示唆されており、今後の展開が非常に楽しみである。単に実装したというだけではなく、評 価がしっかり成されている。評価指標もその分野の現状を踏まえきちんとしたものが使われている。また、技術的な考察は深く有用な情報が多い。「歩行感覚を 他人と共有する」という研究目的の応用範囲は今現在は必ずしも多くないかも知れないが、今後の発展が期待できる。安全性や運用、コストの面で、リハビリ テーション機器への応用、実用化には課題が少なからずあるが、研究としては完成度が極めて高い。何よりも、遠隔地の他人の歩行感覚を体験するという点で は、独創性の高い研究であり、内容も充実しており技術的にも興味深い。今後、本研究成果の応用に関しても期待したい。 |
上杉 繁, 三輪 敬之 (早稲田大学) | 『行為的コミュニケーションを目指した積み木インタフェース』 Vol.5 No.1 pp.143-152(2003) |
受賞理由: 身体的なコミュニケーションによって“文脈の共有化”や“信頼性の創出”を醸成する「共創」という観点から、多くの実験装置を試作し、原理的な段階から 論理的に検討した著者らの独自性は、きわめて高い。積み木という限定的な問題設定ではあるものの、著者らが言うように遠隔作業に対するインタフェースとし て独自の要素を包含しており、今後情報技術をベースとしたリモート共同作業などに対する重要な技術的視座になる可能性がある。また、実験装置や実験表示に 施された多くの工夫や手順などは、実験結果に高い信頼性を与えている。さらに技術的な側面から見ても、ブロックの接触情報を利用して仮想空間を共有すると いう考え方の下に提案された「把持キャリブレーション」と呼ばれる手法も、独創性・有用性ともに高い。 |
宮島 麻美, 伊藤 良浩 (NTT) 伊東 昌子 (NTT アドバンステクノロジ) 渡邊 琢美(NTT) |
『つながり感通信:人間関係の維持・構築を目的としたコミュニケーション環 境の設計と家族成員間における検証』 Vol.5 No.2 pp.19-28(2003) |
受賞理由: 遠隔コミュニケーションにおける心理面の効果を「つながり感」という独自の視点で論じ、これを実現するための仮説をプロトタイプとして提案しており、人 間からの視点での研究としてオリジナリティが高い。また、長期にわたる評価検証を緻密に実施して心理的側面での効果を考察しており、今後の通信メディア開 発に対する多くの示唆を提供している。“つながり感”を伝え合うファミリプランタの提案は、普段の生活に馴染む形で遍在的な情報を伝えるメディアとして興 味深い。また、ファミリプランタによるつながり感の醸成が、短期的つながり、長期的つながり、幸福感の形成へと展開される検証モデルを導入し、衡平理論な どを導入して実データをとって分析している。以上、人のコミュニケーションの多面的な機能に着目した研究内容であり、新たな視点を提案した説得性ある論文 となっているだけではなく、高齢化社会の急速な進展を考慮に入れた社会的ニードに合致する興味深い提案にもなっている。 |
石井 裕, 渡辺 富夫 (岡山県立大学) | 『VirtualActorを対面合成した身体的ビデオコミュニケーションシステム』 Vol.5 No.2 pp.73-82 (2003) |
受賞理由: 本論文では、自己の身体動作を忠実に再現するアバタと対話相手のビデオ映像を同一画面上に表示することによって、非言語情報の伝達を実現したビデオ対話 システムを提案している。「ユーザの非言語情報を計測してCG 等で表現して伝える」という点だけに注目すれば多くの先行研究があるが、ここで独創的なのは自分のCG と相手の実画像を合成する点であり、相手の非言語情報を極力忠実に伝達する手段としての有効性も示されている。さらに本研究で採用された評価方法は同様の 研究を行っている研究者に参考になると思われる。また、対話コミュニケーションを分析し、一般的に予測される正面正対構図よりも客観構図の方が、空間共有 感・自然性が優れていたという官能評価結果は、シンプルな着想であるが驚くべき結果である。さらに、この結果を援用した遠隔コミュニケーション環境を実装 し、実対話のみならず試作環境においても、円滑な身体的インタラクションをもたらす引き込みが誘起されることを示したことは価値が高い。 |
山崎 忍、仲谷 美江、西田 正吾(大阪大学) | 『意図と状況の乖離を表象するインタフェースに基づいた階層型組織のコミュニケーション支援』 Vol.5 No.1 pp.65-74(2004) |
受賞理由: 大規模広域災害では現場の状況が刻一刻と変化したり、同時多発的に複数の問題が発生することから、その災害に対処するオペレータは適切なタイミングで適 切な処置を取ることが困難になる。また、広域災害では階層型の組織で対応する場合が多く、各層におけるオペレータ間でのコミュニケーション支援が重要な役 割を担っている。本論文は、階層型組織におけるコミュニケーション支援に「意図と状況の乖離を表象するインタフェース」を適用する基本的な枠組みを提案 し、その有効性およびコミュニケーションの質について検証したものである。丁寧な検証と考察がなされており、提案したインタフェースによって、階層型組織 における問題解決時間を短縮できるなど、その有効性は極めて高い。また応用範囲も広く、今後のインタフェース研究に対して多くの示唆を与える論文である。 |
平井 重行(京都産業大学) 藤井 元(大阪ガス(株)) 佐近田 展康(名古屋学芸大学) 井口 征士(広島国際大学) |
『新たなアメニティ空間を目指した浴室:入浴状態を音で表現する風呂システム』 Vol.6 No.3 pp.31-38(2004) |
受賞理由: 人々がコンピュータの操作を意識せず、家庭内のアプライアンスに日常生活のパートナーとしてアクセスするためのコンセプト、技術が求められている。本論 文は、そうした背景にあって、浴室をユビキタスコンピューティング環境の対象と捉え、入浴中の動作や生体情報によってインタラクティブにサウンドを鳴らす システムを提案したものである。誰もが少なくとも数日に一度は使用する浴室という空間を、健康モニタリングという実用性を備えながら「それとなく」「楽し ませながら」伝達するというアイディアは極めて独創的である。また、特別なセンサ類を身に付けず湯船につかるだけで生体情報が無意識・自動的に計測できる という点で実用性の高いシステムの提案であり、これらの設計と実装手法はインタフェース研究として評価に値し、広く関連研究者に対して示唆に富む論文であ る。 |
山本 倫也(岡山県立大学) 渡辺 富夫(岡山県立大学/科学技術振興機構) |
『ロボットとのあいさつインタラクションにおける動作に対する発声遅延の効果』 Vol.6 No.3 pp.87-94 (2004) |
受賞理由: 対面的なコミュニケーションでは、言葉によるバーバルな情報だけではなく、音声に対するうなずきや身振り・手振りなどのノンバーバルな情報が相互に同調 しあう形でコミュニケーションを成立させている。本論文では、人とロボットとのインタラクションにおける動作・発声のタイミングを検討し、その基本特性を 明らかにしている。また、ロボットを用いた挨拶合成システムを開発し、コミュニケーション動作と発声の生成タイミングを合成的に解析するとともに、発声遅 延のコミュニケーション効果を明らかにしている。対話ロボットの研究が盛んな中にあって、人間同士の対話の分析に基づいて、自然性と丁寧さをロボットに持 たせる手法を編み出されたことは独創的であり高く評価できる。また、他の多くの対話ロボットの研究開発に影響を与える研究である。 |
新垣 紀子(NTT/名古屋大学) 野島 久雄(NTT/名古屋大学) 佐藤 浩司(国立民族学博物館) 北端 美紀(NTT/(株)ぷららネットワークス) 小野澤 晃(NTT) |
『人はどれだけのモノに囲まれて生活をしているのか?:ユビキタス環境における人とモノのインタラクション支援に向けて』 Vol.7 No.2 pp.1-10 (2005) |
受賞理由: 本論文は、ユビキタスコンピューティング社会の到来を前に、実生活へのユビキタス環境導入時の問題点を指摘し、その解決方法を探ることを試みた。人がど れだけのモノに囲まれて生活しているかを、実際の家庭にあるモノを全て数え上げ、分類し、人とのアクセスの様子を分析している。また、得られた知見を家の 中における人の行動支援に適用する可能性についても言及している。生活学・人類学に基づいた独創的な研究であり、そのアプローチは、人とモノとのインタラ クション場面を分析する手法として高く評価できる。また、ICタグやバーコードなどにより電子的にタグ付けする必要のある日用品の数や種類等の目安を知る ことができるため、ユビキタスコンピューティング、特に物と人とのかかわり合いをターゲットにする実世界指向的なアプローチの研究や、コンテクスト依存の アプローチにおける研究に広く影響を与える論文である。 |
石引 力、渡邊 隆、三輪 敬之(早稲田大学) | 『影を場の統合メディアとする共存在コミュニケーションシステムの開発』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.7 No.3 pp.1-8 (2005) |
受賞理由: 本論文は、人の影を存在表現メディアとしてとらえ、それを遠隔地に伝達、表示することで、相手の存在感を提示するコミュニケーションシステムを提案して いる.影の働きによって、供存在感や距離感が生成され、それに伴って、間合いのとれた会話や息のあった共同作業が実現できることを示した。離れた場所の間 での共存在的な状態を作り出すために影の動きを使い、遠隔地で互いの関係を構築するというアイデアは、今までにない独創性がある。また、実際にシステムを 構築し、実験を通じてその有効性を示している点も高く評価できる。さらに、提案手法は、これまでの情報通信理論を超えて、場を共有して記号的な情報を交換 し意味を伝え合うことを可能とする新たなコミュニケーションシステムの実現を期待させる。 |
五福 明夫、嶋田 雄介、水原 啓暁(岡山大学) | 『人間の簡略化傾向を考慮した因果推論過程の対話的説明表示』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.8 No.3 pp.1-10 |
受賞理由: 本論文は、ユビキタスコンピューティング社会の到来を前に、実生活へのユビキタス環境導入時の問題点を大規模プラントの運転員を支援するエージェントが 因果推論過程を説明するときに、人が物事を説明する際の省略化という行為に注目した手法に関する研究である。簡略化傾向をアンケート調査で統計的に分析し た上で、MFMモデルを適用して簡略化説明方法を実装した。また試作システムを用いた実験により、他の説明手法と比較して優位性があることをより検証して いる。今後のエージェントシステムの実装にとって有用な研究であると考えられ、高く評価できる。 |
小川 浩平、小野 哲雄(公立はこだて未来大学) | 『ITACO:メディア間を移動可能なエージェントによる偏在知の実現』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.8 No.3 pp.53-60 |
受賞理由: PDA、壁、ロボット、ランプなど様々な物体にエージェントを乗り移らせ、ユーザが継続的に同じエージェントとインタラクションしているように感じさせ るというユニークなアプローチを提案している。また実験を通じて、物体の見かけが変わってもエージェントに愛着関係を連続的に保つことが可能であるという 結果を検証している。ユニークなアイデアと興味深い知見の両面で、新たなヒューマンインタフェースの可能性を示唆しており、高く評価できる。 |
生田目 美紀(筑波技術大学) 原田泰(ビジネスコンパス) 楠房子(多摩美術大学 稲垣 成哲(神戸大学) 寺野 隆雄(東京工業大学) |
『児童向け指文字学習ソフトの開発とその評価』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.8 No.4 pp.57-64 |
受賞理由: 指文字学習を支援するシステムにおいて、児童が利用しやすいように様々な工夫を行っている。特に、指文字はこれまで手だけが表示されることが多く、自他 を判別することが難しかったが、遠近法を用いて、児童の行うべき表現を相手よりも大きくすることで直感的に分かりやすくしている。開発したシステムは、最 初は操作が難しいものの、興味を引くことによって学習効果を得られている点を確認している。本質の追求による単純化と、その効果の検証の両面において、高 く評価できる。 |
橋場 参生(北海道立工業試験場) 須貝 保徳((株)電制) 泉 隆(北海道東海大学) 井野 秀一、伊福部 達(東京大学) |
『喉頭摘出者の発声を支援するウェアラブル人工喉頭の開発と評価』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.9 No.2 pp.93-102 |
受賞理由: 喉頭の摘出で音声を失った者にとって、音声によるコミュニケーションを可能とする人工喉頭の実現は福祉工学的視点から極めて貢献度が高い。本論文は、従 来、把持操作が必要であった電気式人工喉頭を、薄型軽量化と無線制御技術によるウェアラブル化している。論文では実現したシステムの詳細とともに、試用評 価による実効性を確認している。ユーザニーズに確実に応える実用性の高い研究であり、高く評価できる。 |
安藤 昌也(総合研究大学院大学) 黒須 正明(メディア教育開発センター) |
『長期間の製品利用におけるユーザの製品評価プロセスモデルと満足感の構造』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.9 No.4 pp.25-36 |
受賞理由: 本論文では、電化製品を長期間用いているユーザに対して行なった聞き取り調査の分析から、ユーザが長期にわたって製品に対して、どのような評価プロセス を経ているのかを示す、実用的なモデルを導出している。さらに、そのモデルの基本部分を、聞き取り調査に基づき検証している。一般に、出荷前の製品評価と 同等に、出荷後の長期利用時の製品評価は重要である。本研究が導いたモデルと検証結果は、聞き取り調査結果も含めて、波及効果が認められ高く評価できる |
飯尾 淳(三菱総合研究所) 井上 健司(山形大学) 新井 健生(大阪大学) |
『レーザポインタによる3次元情報入力装置の開発とそのユーザビリティ評価』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.9 No.3 pp.31-42 |
受賞理由: レーザポインタという一般的なツールを利用して、6自由度全てを入力できる 3次元ポインティングデバイスの提案という高い独創性を有しており、その評価についても綿密に行っている。また、提案手法の今後の発展性も期待され、本論 文は高く評価できる。 |
森屋 彰久、鈴木 琢治、大内 一成、亀山 研一(東芝) | 『脈波情報を用いた睡眠状態推定とその応用』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.10 No.2 pp.77-84 |
受賞理由: 起床のタイミングをコントロールして睡眠の質を高めるという発想は、私たちの日常生活の視点から直感的に頷くことができ、そのアプローチは高く評価でき る。また、脈波センサの応用と睡眠状態推定手法の提案による高い独創性と、その提案手法の精緻な検証実験による関連分野への貢献度も高く評価できる。 |
平山 高嗣、大西 哲朗(京都大学) 朴 恵宣(京都大学/日本学術振興会) 松山 隆司(京都大学) |
『対話における顔向けを伴う働きかけが同意・不同意応答のタイミングに及ぼす影響』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.10 No.4 pp.1-10 |
受賞理由: 心的状態が関係する発話タイミングに身体的な行為である顔向けがもつ意味を明らかにしようとした試みは、そのための実験・解析手法も含め創造的であり、 高く評価できる。また、対話構造を表現するモデルは、発話の終了・開始 時刻、顔向けの開始・終了時刻のみによる単純なものではあるが、一方で、聞き手の意図を外部から観察可能なモデルとしたところが評価に値する。 |
仲山 加奈子、鈴木 琢治、亀山 研一(東芝) | 『末梢皮膚温揺らぎを用いた温冷感計測』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.10 No.2 pp.1-9 |
受賞理由: 温度環境を個々人にあ わせて制御するために、末梢皮膚温に着目し、その揺らぎが温冷感快適温度域において生じることを実験的に示すことによって、温冷感の新しい客観的な計測手 法を着想し、提案した本論文は極めて独創性に富む。さらに、揺らぎを活用した計測アルゴリズムを考案し、実用化に向けた有効性や汎用性を検証している。主 観と客観の一致性を扱った論文として、関連分野への貢献度も高く評価できる。 |
堀口 由貴男(京都大学) 黒田 祐至(日産自動車) 中西 弘明、椹木 哲夫(京都大学) 井上 剛、松浦 聰(パナソニック) |
『コミュニケーション齟齬に着目したメニュー体系の設計』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.10 No.3 pp.21-33 |
受賞理由: コミュニカティブ・ブ レークダウン、情報香、Scatter/Gatherアルゴリズムなどの知見を活用して、多機能を有する電子機器のメニューシステムの分析・問題点の抽出 方法を独自に考案し、システムとして実装した点は、高い新規性と創造性を有する。また、DVDレコーダを対象とした実験と考察をふまえ提案された機能検索 用UIは有用性が高く、インタフェース設計関連分野への幅広い活用と大きな貢献が期待できる。 |
川上 浩司(京都大学) | 『不便の効用に着目したシステムデザインに向けて』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.11 No.1 pp.125-133 |
受賞理由: 不便がもたらす効用 (不便益)を抽出し、それがシステムデザインの基本的な指針となることを共生思考的な観点から論及した本論文は、機能的な価値を優先するこれまでのインタ フェース設計に一石を投じるものであり高く評価できる。また、インクルーシブデザインやモノづくりなどを例にあげて不便益の設計論に関する考察を行い、気 づきのような視座を与えたことはインタフェース設計に大きく貢献するものである。 |
鴨田 貴紀、角 裕輝、竹井 英行、吉池 佑太、岡田 美智男(豊橋技術科学大学) | 『Sociable Dining Table:相互適応による「コンコン」インタフェースに向けて』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.12 No.1 pp.57-70 |
受賞理由: ロボットと人とがソーシャルな意味で相互適用するという独創的な考え方がベースになっており、この相互適用を利用して、ロボットの操作をノックの回数という非常にシンプルなインタラクションで実現しようとする試みも、独創性が高い。強化学習を使用してロボットと人とが相互適応し、お互いにプロトコルを確立するという過程は、本論文で述べられているロボットと人に限らず、ヒューマンコンピュータインタラクションの分野で幅広く利用できる可能性もあり、その有効性・貢献度は高い。近年、特にHRIの分野は早急な発展が臨まれていることからも、本論文の有効性・有用性は非常に高いと考えられる。 |
森 友揮、田中 孝之、金子 俊一(北海道大学) | 『把持力による皮膚変形を考慮した Vibration Alert Interface の振動強度設計』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.12 No.2 pp.11-20 |
受賞理由: 本論文では、振動により障害物までの距離を提示する手持型デバイスにおいて、デバイスを把持する力の大きさによりユーザに提示する感覚が変化してしまう影響を補正する方法の提案と評価を行っている。提案する手法には十分な新規性があり、また,各種被験者実験をベースに、納得できる手順で補正式を導出し、その効果もさらに被験者実験で確認しており、信頼性も高い。論理展開や評価方法等も堅実であり、非常に質の高い論文であるということができる。 |
古屋 友和、柳澤 祐貴、小林 祥吾、伊東 一典(信州大学) | 『空気噴流刺激を用いた触覚によるリズム伝達』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.13 No.1 pp.53-60 |
受賞理由: 空気噴流という新規な方法に注目しており、高い独創性をもった研究であるといえます。また、空気噴流による刺激部位等の基礎検討を経て、実際のリズムの伝達効果の検証という流れで詳細に実験を実施し、知覚特性を調べた点や、他の刺激と比較した点が有効性の点で高く評価されました。 |
小竹 元基、高谷 玲子、鎌田 実(東京大学) | 『情報機器使用時における高齢者の視行動と操作行動による戸惑い状態識別手 法の一提案』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.13 No.2 pp.39-48 |
受賞理由: 高齢者の情報機器使用時における行動特徴から戸惑い状態を識別する手法が提案されており、詳細な視線行動についての分析結果を含めて興味深い内容であると評価されました。また、ユーザ行動からデジタルディバイドを解決する検討として、戸惑い状態検出の手法に対して高い独創性が感じられます。 |
青柳 西蔵、岡村 智明、石井 裕剛、下田 宏(京都大学) | 『ゆるいコミュニケーションによる環境配慮行動の継続促進手法の提案と評価』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.13 No.3 pp.31-44 |
受賞理由: 本論文は行動変容のために常時携帯を前提とした低負荷の遠隔コミュニケーションを導入した点、異なる環境にいるユーザ間で家庭内の場所に関する意味的な類似性を利用したコンテキスト共有を図っている点について独創性がみられました。また、個々人が生活の中で実施する必要のある環境配慮行動を促進する方法として、携帯情報端末を使ったSNSを利用しようとするアイディアは興味深いと評されました。 |
益田 真輝、泉 朋子、仲谷 善雄(立命館大学) | 『観光をあえて未完了に感じさせることによるリピータ創出システムの提案』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.14 No.3 pp.259-270 |
受賞理由: ツァイガルニク効果を利用してリピータ観光客を増やす試みには独自性が認められ、実験1年後に調査を行って効果を確認した点も評価されました。未完了性は、課題をクリアできなかった場合に何度もチャレンジする心理につながることから、観光だけでなく様々な分野への応用が考えられ、新しいサービスの可能性を示した点が高く評価されました。 |
守屋 悠里英、田中 貴紘、藤田 欣也(東京農工大学) | 『ボイスチャット中の音声情報に基づく会話活性度推定方法の検討』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.14 No.3 pp.283-292 |
受賞理由: 会話音声情報に含まれる非言語情報と会話活性度の関連を明らかにし、ユーザごとのキャリブレーションを行わずに活性度を推定する手法を検討した点に独創的が認められます。さらに、ボイスチャットにおけるアバターの非言語表現の制御や音声インデクシングへの活用など、関連分野への波及効果が期待できる点も高く評価されました。 |
山岡 潤一、筧 康明(慶應義塾大学) | 『NeonDough:導電性粘土を用いた光る粘土細工』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.14 No.4 pp.341-350 |
受賞理由: 広く一般に用いられる小麦粉粘土の導電性に着目し、創作やインスタレーションの手段として用いた点に独創性が認められます。単に粘土にLEDを埋め込んで光らせるだけではなく、粘土を変形させる作業によって色が変わるようにした点も興味深く、子どもでも容易かつ安全に創作活動が行える可能性を示した点が高く評価されました。 |
杉原 賢次、大槻 麻衣、木村 朝子、柴田 史久、田村 秀行(立命館大学) | 『仮想物体への描画感を達成した新筆型対話デバイスの開発』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.14 No.1 pp.31-42 |
受賞理由: この研究では、モデル化、実装、評価のステップを複数回繰り返すことによって、描画感覚を再現する装置の性能を高めており、この研究手法が高く評価されました。また、筆型デバイスを実現する方法として提案されたベンド式、スライド式、ベルト式、フラップ式といった機構の新規性も高く評価されました。 |
池之上 あかり、鵜木 祐史、西本 一志(北陸先端科学技術大学院大学) | 『微少遅延聴覚フィードバックを応用したドラム演奏フォーム改善支援システム』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.15 No.1 pp.15-24 |
受賞理由: ドラム演奏の練習に際して、学習者に特殊な練習法を強いるのではなく、演奏時の聴覚フィードバックをわずかに遅らせるだけで、ドラム演奏が上達するという手法の独創性が高く評価されました。また、単なるアイディアの提案にとどまらず、筋電位を利用した計測に基づいて、効果が得られた理由も詳細に検討しており、優れた研究であることが認められました。 |
狩川 大輔、青山 久枝(電子航法研究所)、高橋 信、古田 一雄(東北大学)、北村 正晴(テムス研究所) | 『航空管制官の実践知分析を通じた管制処理プロセス可視化インタフェースの評価』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.15 No.2 pp.177-190 |
受賞理由: 複雑で定量化が難しい管制処理を、実際の管制官インストラクターの判定を基準に用いて評価した点、また、インストラクターの主観的な判断基準を客観化した点などの新規性が高く評価されました。また、現場の詳細な作業分析に基づいて実施された、優れた研究であることが認められました。 |
Kazuya Murao, Tsutomu Terada(Kobe University), Ai Yano, Ryuichi Matsukura(Fujitsu Laboratories) | 『Evaluating Sensor Placement and Gesture Selection for Mobile Devices』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.15 No.3 pp.281-292 |
受賞理由: 標準的なモバイル機器に搭載されているセンサを上手く活用し、ユーザの直感的な入力の可能性を高めていくアイディアが、実践指向のヒューマンインタフェース研究として評価されました。また、そのアイディアの有効性を実験により多角的に検証し、さらにジェスチャ入力のアプリケーションの在り方にも言及しており、読み応えのある論文に仕上がっています。実用性の高い、優れた研究であると認められました。 |
山中 祥太, 宮下 芳明(明治大学) | 『重なりあったウィンドウ間を移動可能なマウスカーソル操作手法とその評価』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.15 No.3 pp.313-326 |
受賞理由: 重なりあったウインドウ間のフォーカス移動を効果的に行うために、マウスカーソルを3次元的に移動させるアイディアを提案しており、現在主流となっているGUI環境において、マルチウィンドウ操作の煩わしさを軽減するための具体的なインタフェースの改善方法を提案している点が高く評価された。また、現在のOS環境(Windows7)で稼働するシステムを実際に作成し、評価・検証まで実施しており、優れた研究であると認められました。 |
Yoichiro Matsuura, Shogo Okamoto, Hikaru Nagano, Yoji Yamada(Nagoya University) | 『Multidimensional Matching of Tactile Sensations of Materials and Vibrotactile』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.16 No.3 pp.187-198 |
受賞理由: 触覚の材質感(表面テクスチャ)を構成する要因について、心理学的手法(テクスチャ空間)と工学的手法(物理空間)をミックスし多次元的に解き明かそうとする試みであり、両手法を統合的に扱うというアプローチのユニークさが評価されました。これまで主観評価や官能検査的な手法に頼るところが大きかった表面テクスチャの触知覚やデザインに、新たな定量化の検討や知見を導入している点で、同分野の研究の発展に大きく寄与する優れた研究であると認められました。 |
三浦 麻希, 鈴木 健嗣(筑波大学) | 『小児らの相互作用行動と集団形成を支援するための光提示インタフェース』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.16 No.2 pp.87-96 |
受賞理由: 発達障害のある子供たちの社会的交流の機会創出支援を実現するという研究の着眼点に独創性があり、小児らのグループダイナミクスの計測および光提示インタフェースで相互作用行動を支援するという枠組みについての新規性が認められました。また、システム試作とグループゲームによる実証実験を行い、開発システムの有効性とその限界を示し、十分に読み応えのある論文に仕上がっていることから、総合的に高く評価されました。 |
安見 卓志, 都甲 直之, 村上 存, 上田 一貴(東京大学), 佐野 安信(ヤンマー) | 『設計者とユーザ間の差異に基づく安全・ユーザビリティ設計手法』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.17 No.4 pp.411-420 |
受賞理由: インタフェースに対するユーザの対応を意識と行動に分け、そこに設計者の考えを入れて、従来の人間の情報処理モデルとは違った観点でヒューマンエラーを捉えようとした試みに新規性が認められました。農業用トラクタに限定されるが、タスク実行中の問題個所とその原因を精度よく分析し、設計に反映できる手法の提案であることから、その有効性と開発場面に対する貢献度は高いと評価されました。 |
吉田 成朗, 鳴海 拓志, 櫻井 翔, 谷川 智洋, 廣瀬 通孝(東京大学) | 『リアルタイムな表情変形フィードバックによる感情体験の操作』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.17 No.1 pp.15-26 |
受賞理由: 感情の変化に伴って起こる特定の身体反応を知覚させると、その感情を喚起させられるという現象が、認知科学分野で知られています。本論文は、その知見を巧みに利用し、目の前のディスプレイに映った自分の表情を適切に変えて提示することで、感情の制御が可能であることを実験的に示したものであり、新規性が高いと認められました。多くのフィールド実験等を通じて、興味深い知見を見出しており、当該分野において、価値の高い論文であると評価されました。 |
中洲 俊信,山地 雄土,柴田 智行,井本 和範(東芝) | 『手書きスケッチによる直感的な資料検索システム』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.18 No.3 pp.141-152 |
受賞理由: 手書きの特性を活かし、過去の資料の記憶が曖昧な状況でも検索できるという機能は、実用ニーズが高いだけでなく、研究としての独創性も高いと認められました。実験的調査に基づくクエリ表現の大規模な収集、及び、その分類が的確になされており、当該分野の今後のUI研究に与えるインパクトが大きいと判断されました。 |
伏見 遼平, 福嶋 政期, 苗村 健(東京大学) | 『爆笑カメラ:笑い声により自然な笑顔を撮影するカメラシステム』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.18 No.3 pp.153-162 |
受賞理由: 写真撮影場面で自然な笑顔を表出する方法が望まれる中、「笑い声の提供」という切り口から科学的に研究を行った点は独創性が高いと認められました。笑い声再生からシャッターを切るための遅延時間を定量的に求めるなど、実用化に向けた取り組みも高く評価されました。 |
中井 優理子, 工藤 慎也,岡崎 龍太, 梶本 裕之(電気通信大学) | 『弾性素材のせん断変形を用いたタッチパネルへの水平方向力入力とその応用』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.18, No.2, pp.95-106 |
受賞理由: 本論文では、タッチパネルにおける水平方向力入力を可能とするために、タッチパネル表面に弾性素材を用いた構造を設ける手法を提案しています。既存のタッチパネルを備えたモバイルデバイスと容易に組み合わせ可能であり、給電が不要にもかかわらず既存手法と同程度以上の精度とユーザビリティを保った形で利用できる本提案手法は、非常に独創性が高く、さらなる研究開発が進めば、実用化も可能であるデバイスであると考えられ、論文賞審査委員会において非常に高く評価されました。 |
高崎 俊之(パンゲア/京都大学),村上 陽平(京都大学), 森 由美子(パンゲア),大谷 雅之, 石田 亨(京都大学) | 『児童を介した途上国農業支援のための異文化間コミュニケーション環境』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.18, No.4, pp.443-450 |
受賞理由: 本論文では、発展途上国における識字困難な農業従事者を対象に、高度な専門知識を持つ日本の農業専門家が、言語と文化の違いを超えてアドバイスする際に利用できるコミュニケーション支援方法を提案しています。また、ベトナム農村地域でのフィールド実証実験を実施し、提案手法がどの点で効果的であるかを確認し、応用可能な分野を丁寧に考察しています。今後のヒューマンインタフェース研究にとって、研究のプロセス、結果ともに重要な知見を与えている点が評価されました。 |
平岡 敏洋(名古屋大学), 林 秉譽, 川上 浩司(京都大学) | 『ドライバの潜在的な安全運転態度を測定する改良版日本語Implicit Association Test』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.19, No.2, pp.199-210 |
受賞理由: 本研究は、安全運転態度を計測するImplicit Association Test(IAT)の改良を目的としています。既存のIATの問題点を十分に分析した上で改善点を提案し、調査とドライブシミュレータ実験により改良版の有効性を定量的に示しています。本改良版テストを交通指導の場で適切に用いることができれば、ドライバの意識改革を促すことで、安全性の向上や交通事故の低減に貢献できることが期待されます。また、論文中で用いられている方法論や示されている結果は非常に明確であり、今後の運転行動に関連する研究に広く貢献すると期待され、非常に高い有用性を有していると評価されました。 |
荒井 観,安川 展之(NEC),日野原 誠(NECプラットフォームズ),木曽 宏顕(NEC) | 『プロジェクションマッピングを用いた基板製造作業支援システム』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.19, No.3, pp.271-282 |
受賞理由: 本論文では、製品製造現場の生産効率向上に向け、製造ライン作業者の作業机や製造品に作業指示を上から投影し、作業を支援する基板製造作業支援システムについて述べている。プロジェクションマッピング技術を作業支援として利用するというアイディアそのものは、一見新しくないように思われるが、情報提示のタイミングで作業員間の作業時間のばらつきを抑えている点や、実際の製品製造現場に適用した点に独創性がある。提案システム導入による効果を確認するため、実際の製造現場で半年間という長期にわたりシステムを運用した点は、ともすれば簡単に実験して終わりとなりがちなヒューマンインタフェース分野において、地に足のついた貴重な研究である。 |
吉田 悠(東京大学),青山 久枝, 井上 諭(電子航法研究所),菅野 太郎,古田 一雄(東京大学) | 『情報の誘目性が航空管制タスクに与える影響』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.20, No.1, pp.125-134 |
受賞理由: 精神性負荷の高い画面監視・管理タスクにおいて、画面(視覚情報)に求められる性能を、情報の目立ちやすさに着目した「誘目度」という独自提案モデルにより、定量評価可能にしている。また、これを航空管制タスクに適用し、その可能性について定量検討している。提案された「誘目度」は、ヒューマンエラーを低減し負荷を軽減する画面設計の実現に有効な指標であることが、多くの人命を守る航空管制タスクをケースとして実験検証されており、一定の社会貢献性が評価できる。さらに、本評価指標は、航空管制タスクに留まらず、自動車運転やプラントの管理作業など、様々な監視・管理タスクに伴う最適な画面設計に適用可能であると考えられる点で、高い社会貢献性が期待される。 |
松下 仁美,香川 真人,山村 祐之,岡田 美智男(豊橋技術科学大学) | 『非流暢性を伴うロボット (Talking-Ally) の発話調整方略とその聞き手に対する適応に関する研究』 ヒューマンインタフェース学会論文誌Vol.20, No.2, pp.255-268 |
受賞理由: 本論文では、ロボットが聞き手である人間の参加を引き出すための発話調整方略として、言いよどみや言い直しなどの非流暢な振る舞いを活用する効果について議論されている。このロボットによる発話調整方略を適応的に変更することで、聞き手の注目を得られることが示されており、分析結果から実際に効果の高い発話特徴を見出している。ロボットと人とのインタラクションにおいて、発話特徴によって視線を引き戻す効果について詳細に考察されている点が独特で興味深い論文である。また、各種発話特徴の効果について丁寧に深く考察がなされている点、関連研究の発展において参考になる新規知見が結論付けられており、かつ結論以外の考察にも多く知見が得られている点などが高く評価された。 |
黒田 嘉宏, 加藤 拓実, 吉元 俊輔, 大城 理(大阪大学) | 『PupilShutter:瞳孔収縮による注釈提示システム』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.20, No.2, pp.221-228 |
受賞理由: 随意的に瞳孔経を変化させることができる近見動作に着目し、随意的な瞳孔変化を検出することで入力を行うことができるシステムを構築し実際に評価実験まで行うことができている点が高く評価された。注視と近見動作に伴う瞳孔収縮を組み合わせることにより、従来法では困難であったMidas touch problemを解決できるユーザインタフェースを提案している点でその独創性が高く評価される。現状ではやや精度が低い面もあるが、これに関しては瞳孔変化検出アルゴリズムの向上や近見動作という普段行わない動作の習熟により、精度向上が見込まれる。更に近見動作はドラッグ操作といったこれまでの眼球運動では実現が難しかった入力もできる可能性があることから、将来性も含めて高く評価され、実用化されれば身体麻痺患者の意思入力手段として大いに期待できる。 |
江口 眞人(NTT), 三好 匠, 新津 善弘(芝浦工業大学), 山崎 達也(新潟大学), 大野 健彦(NTTテクノクロス) | 『一時的UXを向上させ利用意向度を高める歩きスマホ防止アプリケーション』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.20, No.2, pp.243-254 |
受賞理由: 歩きスマホの問題はユーザが多く事故率も高い重要な社会問題である。本論文ではこの一般的な社会問題の解決策に取り組んでおり、歩行中の周辺危険状態を組み合わせることで、利用意欲や危険回避行動の誘発ができている点が高く評価された。危険なこと(歩きスマホ)は禁止すればよいという対策が多い中で、できるだけ利用を許容し、ユーザが歩行時に画面を注視しており、かつ進行方向に階段の段差や他の歩行者の存在を検知した危険な時のみ警告するという考え方は独創性のある提案であり高く評価できる。将来実用化に向けての開発において仕様は変わりうるが、本研究の成果が有益な学術的知見として利用できることが期待される。 |
川口 一画, 葛岡 英明(筑波大学), ドナルド マクミラン(ストックホルム大学) | 『スマートスピーカーにおける注視の入出力を用いたインタラクションの効果』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.21, No.3, pp.269-278 |
受賞理由: スマートスピーカーが普及する中で、その対話の不自然さを解決する方法を社会学的見地から提案して検証している論文である。対話における視線の効果は広く研究されているが、そこで得られた知見を現代的な環境で活かし、普及をみせているスマートスピーカーの操作性・利便性を高める提案ができているという点が高く評価された。社会学的知見に基づき、ユーザと人工物とのインタラクションにおいて「注視」に着目した点は独創的である。単にウェイクワードをユーザによる注視と置き換えるだけでなく、システム側からの注視も含めた相互注視とすることにより、操作性の向上や興味・関心の喚起を促せることを実験により示した点が高く評価された。 |
西脇 裕作, 板敷 尚, 岡田 美智男(豊橋技術科学大学) | 『ロボットの言葉足らずな発話が生み出す協調的インタラクションについて』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.21 No.1, pp.1-12 |
受賞理由: 本研究では、確実性を追求するロボットとのインタラクションが主流となっている分野で、弱いロボットによる言葉足らずな発話の可能性を見いだし、実験とその解析によって対話者とのインタラクションを高める効果を示している。本研究で得られた知見は、人に発話させることあるいは会話すること自体に意味がある状況で、非常に有効な手法であると考えられる。新規性・有用性ともに非常に高く、論文賞に相応しい論文であると評価された。 |
藤本 和賀代(奈良女子大学/徳島文理大学), 川治 和奏,本田 麻由美,安在 絵美(奈良女子大学),山内 基雄, 才脇 直樹(奈良女子大学) | 『プリンテッドエレクトロニクスを用いた呼吸周期を計測可能なセンシングウェアの開発』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.22 No.2, pp.165-174 |
受賞理由: 本研究では、導電性ゴムの印刷技術を用いて呼吸周期を計測可能なセンシングウェアを開発している。伸長センサの耐久性・温度特性などを丁寧に検討するだけでなく、被服構成学による検討や呼吸器の専門医による評価という学際的な研究にまで発展させている。実用性に関しても、睡眠時無呼吸症候群の診断だけでなく、ヘルスケアの分野において幅広い応用が期待できる研究であり、論文賞に相応しい論文であると評価された。 |
諸岡 遼, 福島 暁洋, 佐藤 茜, 田中久弥(工学院大学), 馬原 孝彦(水野記念リハビリテーション病院), 平尾 健太郎, 都河 明人, 羽生 春夫(東京医科大学) | 『BCIと前頭葉機能検査を用いた認知症の早期診断法』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.22 No.2, pp.211-218 |
受賞理由: 本研究は、文字入力型BCIの技術を認知症・軽度認知症の判別に使用するという試みであり、BCIの新たな用途を見出す論文として価値が高い。一部の実験協力者の数が少ないという制限はあるが、BCIによる記憶力・集中力等の認知機能の検査方法が実現する可能性は十分に示されている。高齢化が進む日本では、非常に多くの人々を助ける研究であると期待され、論文賞に相応しい論文であると評価された。 |
石川 爽一朗, 堀口 由貴男, 中西 弘明, 椹木 哲夫(京都大学) | 『産業用ロボットオフライン動作点教示支援ユーザインタフェース: 正射影画面生成およびポインティング操作機能の開発と評価』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.22 No.2 pp.89-100 |
受賞理由: 本研究は、産業用ロボットに対するプログラミングの煩雑さを改善するために、そのプロセスを階層タスク分析によって詳細に調べ、分析結果に基づいて「4画面表示技術」と「ポインティング操作」という、新たなインタフェースを提案している。評価結果では、本手法が作業効率の点で他の手法を大きく上回っていることが示され、実際の現場でも提案手法が十分に利用できることが議論されている。このような独創性・有効性の点から、論文賞に相応しいと評価された。 |
廣江 葵(神戸大学)、山本 倫也(関西学院大学)、長松 隆(神戸大学) | 『眼球の光軸周辺の顕著性マップを用いた視線計測装置のインプリシットキャリブレーション手法』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.23 No.4 pp.431-442 |
受賞理由: 本研究は、視線計測の際に必要となるキャリブレーションの精度をより高めるために、機械学習で推定されたユーザが見ている場所の情報と、静止画ではなく動画を新たに導入している。また評価結果では、本手法が簡便な手法の中では既存のものよりも高い精度を実現したことが示されている。本研究で提案されている手法は、利用者を拘束しないためユーザビリティが高く、街頭のデジタルサイネージなどへの応用が期待され、実用性の点から論文賞に相応しいと評価された。 |
伊藤 京子(京都橘大学)、辻 雄太、石井 裕剛、下田 宏(京都大学)、大林 史明(パナソニック) | 『知的作業中の一時刺激気流による覚醒水準と作業効率の回復効果』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.23 No.4 pp.547-558 |
受賞理由: 本研究は、知的な作業を効果的に回復させる手法として、一時的な強い気流の提示を提案し、それが執務者の覚醒の度合いや脳波、心電図などにどのような影響を与えるかを詳細に分析している。結果として15秒程度の気流が作業効率の回復につながることを示しており、この結果はオフィス業務の作業効率だけでなく、自動車のドライバーの集中度を上げることにも応用できると考えられる。このような提案手法の新規性、及び結果の有効性が、論文賞に相応しいと評価された。 |
横山 海青、髙倉 礼、志築 文太郎、川口 一画(筑波大学) | 『フリック入力に基づく2本の押し込み機能付きジョイスティックを用いたテキスト入力手法』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.23 No.4 pp.383-396 |
受賞理由: 本研究は、JoyFlickとよばれるゲーム用コントローラを利用したテキスト入力手法を提案し、その評価を行っている。結果として、従来の50音キーボードに比べ、入力速度において15%以上早くなることを確認している。本研究で提案されている手法は、今後メタバースのような空間でテキストを用いたコミュニケーションの頻度が高くなる際、その入力の煩わしさを大きく改善すると考えられる。このような実用性の観点から、論文賞に相応しいと評価された。 |
城下 慧人、小森 政嗣(大阪電気通信大学)、横山 卓未(クラシエホームプロダクツ) | 『二肢選好に基づく商品コンセプトに合致した容器輪郭形状の生成』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.24 No.1 pp.53-62 |
受賞理由: 本研究は、様々な感覚入力を1つの心理量に変換する関数を推測するためにガウス過程選好学習を導入し、選択肢課題の結果を用いて関数を推測して、容器のデザインプロセスに適用している。結果として、容器のコンセプトに合致したデザインを構築できる可能性を示している。本研究で提案されている手法は、従来の手法に比べ被検者の負担が少なく、同時に様々な製品の感性評価にも応用できる汎用性を有している。これらの点が論文賞に相応しいと評価された。 |
福森 聡(香川大学)、喜多 亮介(関西学院大学)、青柳 西蔵(駒澤大学)、山本 倫也(関西学院大学)、北出 勝也(視機能トレーニングセンター) | 『眼球運動検査・トレーニングのための検査指標の開発』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.24 No.2 pp.121-132 |
受賞理由: 本研究は眼球運動を検査する手法を、カメラを用いて計測された視線と頭部運動のデータを用いることで、新たに提案している。結果として、本研究で考案した3つの検査指標が、妥当であることが示されている。本研究で提案されている手法は、特に小児の眼球運動障害の早期発見、介入に貢献することが期待され、臨床の現場で活用できるという有用性の観点から、論文賞に相応しいと評価された。 |
北村 美和子、黒川 智司、石井 裕、渡辺 富夫(岡山県立大学) | 『CGキャラクタを用いた多様なうなずき動作に対する印象評価』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.24 No.4 pp.249-262 |
受賞理由: ロボットのうなずき動作により孤独、孤立感を解決しようとする試みである。これまでの研究に基づいてうなずきの回数、時間、角度が相手に与える影響をCGキャラクタの動作により検討し、親近感、活発さ、誠実さの印象が変わることを明らかにした。うなずき動作を変えることにより相手に与える印象が変わることを実験により明らかにしており、これらの成果はロボット等によるコミュニケーションシステムへの応用が期待できる。これまで検討されていなかったうなずき角度の影響は、本研究の貢献と評価できる。本実験結果は、うなずき動作を活用する新規の研究だけでなく、既存のうなずき動作を利用した研究に対しても、よりよい波及を与えられると考えられ、特に有効性・貢献度の点でこの研究は論文賞に値すると考える。 |
本吉 達郎、瀧田 一誠、高木 昇(富山県立大学) | 『視覚障がい者を対象ユーザに含めたタンジブルなプログラミングツールP-CUBE3を用いた体験授業の実施と評価』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.25 No.3 pp.177-188 |
受賞理由: 視覚障がい者でもタンジブル情報を手掛かりに、手続き型プログラミングを行える環境P-CUBEシリーズを提案している。本研究では、そのシステムが備えるべき機能要件を定義して実装したうえで、視覚障がい者と晴眼者を対象にしてその機能を体験する授業を実施し、評価した点について独創性が見られる。プログラミング機能をブロックで表現し、最初のブロックをおいてから完成するまでの時間などが測れたり、操作履歴が得られるなど、作業を記録して幾つかの評価尺度で評価できるようにシステム及び実験を設計することにより、視覚障がい者と晴眼者との比較を実施した。ここで用いられた手法は他にも応用でき有用である。視覚障がい者のプログラミングプロセスを詳細に解析することにより、提案したシステムにて晴眼者と同程度の操作手間でプログラム課題に取り組める可能性が示され、プログラミングの基本要素を学習できたことが示された。また履歴機能の実装でタンジブルな操作が客観的に検討できるようになった点が評価できる。 |
本所 然、長谷川 孔明、大島 直樹、岡田 美智男(豊橋技術科学大学) | 『社会的受容性を志向するロブジェクト概念の提案』 ヒューマンインタフェース学会論文誌 Vol.25 No.3 pp.203-218 |
受賞理由: ソーシャルロボット研究におけるロボットと機械をどのように区別するかという社会性の議論において、従来研究ではロボットに社会性を足し算して人に近づけるというアプローチが多いのに対し、本研究ではロボットから社会性を引き算してコミュケーションの本質を考えるという着想に独創性が見られる。また、「ソーシャル」に至る過程のモノという新たなロボット概念「ロブジェクト」を提案し、卓上ランプをモチーフにした実装例を示した。それを用いてロブジェクトの性質について様々なインタラクション実験を通じて評価を行った。詳細な分析結果は同様の実験を試みる際に有用であり、本分野への高い貢献が見られると考える。インタラクション実験におけるインタビューを通じ、ロブジェクトがミニマルな社会性や解釈の幅を持つことなど、ロブジェクトが持つとされる性質を試作物が備えると示唆する結果が得られた。ロブジェクトの考え方を用いることが、人とロボットの間の共生関係の議論を深めるのに有意義であると考える。 |
研究会賞
中島 健次、田中 宏、石垣 一司((株)富士通研究所) | 『タブレットを利用した自由手書きメモからの情報入力』 (第29回研究会) |
池井 寧、高田 哲也(東京都立科学技術大学) 広田 光一、廣瀬 通孝(東京大学) |
『ウェアラブル電子記憶術システムiFlashBackにおける映像支援リハーサル効果』 (第30回研究会) |
橋場 参生(北海道立工業試験場) 須貝 保徳((株)電制) 泉 隆(北海道東海大学) 井野 秀一、伊福部 達(東京大学) |
『喉頭摘出者の発声を支援するウェアラブル人工喉頭の開発』 (第3 |
水上 陽介(香川大学) 内田啓治(エス・シー・エー) 澤田秀之(香川大学) |
『触覚呈示デバイスを用いたなぞり感覚の呈示』 (第38回研究会) |
加藤 伸子、河野 純大、西岡 知之、三好 茂樹、村上 裕史、皆川 洋喜、若月 大輔、白澤 麻弓、石原保志、内藤一郎(筑波技術大学) | 「遠隔情報保障における手話通訳者へのキーワード提示の基礎的検討」 (第41回研究会) |
高橋 康介(JST ERATO) 齋木 潤(京都大学) 渡邊 克巳(東京大学) |
『仮想物体の変形に対する視触覚間同時性知覚の順応』 (第44回研究会) |
半田 拓也、坂井 忠裕、御園 政光、森田 寿哉、伊藤 崇之(NHK放送技術研究所) | 「タッチパネル搭載型触覚ディスプレイを用いたインタラクティブな提示方式」 (第46回研究会) |
西本 卓也(東京大学) 渡辺 隆行(東京女子大学) |
『音韻修復効果を用いた音声CAPTCHAの検討』 (第52回研究会) |
雨宮 智浩(NTT) 杉山 久(京都市消防局) |
「牽引力錯覚を利用した視覚障がい者避難用コンパスの設定」 (第49回研究会) |
西澤 達夫、長坂 大介、児玉 大、橋本 昌巳、伊東 一典(信州大学) 宮岡 聖次(シナノケンシ) |
『直感的操作を実現する触覚を用いた視覚障害者向けインタフェース』 (第58回研究会) |
平松 達也(ミクシィ) 藤澤 誠、天野 敏之、宮崎 純、加藤 博一(奈良先端科学技術大学院大学) |
『SNSに基づく災害ボランティア活動支援システムの構築』 (第61回研究会) |
米澤 朋子(ATR知能ロボティクス研究所) 神山 祐一(ATR知能ロボティクス研究所 / 名古屋大学) 山添 大丈, 安部 伸治(ATR知能ロボティクス研究所) 間瀬 健二(名古屋大学) |
「ロボットが寄り添う高齢者同士のTV対話におけるユーザ行動分析」 (第64回研究会) |
守屋 悠里英、田中 貴紘、藤田 欣也(東京農工大学) | 『ボイスチャット中の音声情報に基づく会話活性度推定可能性の検討』 (第73回研究会) |
岡 耕平(滋慶医療科学大学院大学) | 『コミュニケーションが困難な発達障害のある学生の学習支援 -テクノロジーの利用と環境調整による支援効果の事例的検討-』 (第86回研究会) |
安藤 昌也(千葉工業大学)、杉原 太郎(北陸先端科学技術大学)、田中 一丸(千葉工業大学) | 『看護・介護の状況を想定した手書きメモと音声メモの記憶補完効果の違い』 (第89回研究会) |
小林 弘幸、大村 卓矢、山本 知仁(金沢工業大学) | 『音声対話システムにおける適切な発話タイミング生成に関する考察』 (第104回研究会) |
本多 達也, 岡本 誠(公立はこだて未来大学) | 『音触感のユーザインタフェースデザイン研究』 (第110回研究会) |
細井 俊輝, 佐藤 裕美, 高嶋 和毅(東北大学), 伊藤 雄一(大阪大学), 足立 智昭(宮城学院女子大学), 北村 喜文(東北大学) | 『加速度センサを用いた積み木による子供のストレス軽減効果に関する一検討』 (第111回研究会) |
藤野 秀則, 堀下 智子(西日本旅客鉄道), 山口 裕幸(九州大学) | 『運転士のプロアクティブ行動と職場内のコミュニケーション・ デザイン』 (第115回研究会) |
田中 正清, 高橋 潤, 大倉 清司, 村瀬 健太郎(富士通研究所) | 『口頭説明に同期して説明箇所を自動提示するプレゼンテーション支援システムの開発』 (第119回研究会) |
塩瀬 隆之(京都大学), 木村 亮介, 近藤 崇司(GOCCO.), 松浦 真(cobon), 小竹 めぐみ(こどもみらい探求社), 辻 邦浩( ナレッジキャピタル) | 『データサイエンスをもちこんだ子どもの街「ミニフューチャーシティー」の開発』 (第125回研究会) |
福田 大年(札幌市立大学) | 『多人数の知恵を「浮き彫らせ、紡ぐ」協創型アイデア生成法「クルクルスケッチ」の事例報告』 (第127回研究会) |
渡辺 彩乃,河野 純大(筑波技術大学) | 『テレビCMにおける内容理解度の高い字幕に関する基礎的検討』 (第130回 研究会) |
木村 太郎, 徳丸 博紀, 石井 裕剛, 下田 宏(京都大学),香田 有哉(日本原子力研究開発機構) | 『プラント内の直線を利用した拡張現実感用リローカリゼーション手法の開発』 (第132回 研究会) |
大橋 由暉(京都大学), 木村 太郎(ソフトバンク), 久留島 隆史, 石井 裕剛, 下田 宏(京都大学), 香田 有哉(日本原子力研究開発機構) | 『環境再構成モデルによるレンダリング画像を利用したリローカリゼーション手法の開発』 (第145回研究会) |
藤澤 理央, 坂本 昌輝, 山本 知仁(金沢工業大学) | 『時空間の移動を考慮した3次元視聴覚ディスプレイシステム』 (第148回研究会) |
板東 真慶, 米村 俊一(芝浦工業大学) | 『複数の音声認識ソフトを用いる情報保証方式の検討-音声認識エンジンの認識率低下の検出方法-』 (第151回研究会) |
赤坂 文弥, 木村 篤信, 草野 孔希, 井原 雅行(NTT) | 『サービスデザイン研究のこれまで、現在地、これから』 (第157回研究会) |
岩淵 由華, 狩川 大輔(東北大学), 青山 久枝(海上・港湾・航空技術研究所 電子航法研究所) | 『レジリエンスの4つのコア能力に基づく航空路管制業務の分析』 (第159回研究会) |
福島 暁洋, 諸岡 遼, 森 知佳子, 田中 久弥(工学院大学), 馬原 孝彦,平尾 健太郎,都河 明人,羽生 春夫(東京医科大学) | 『BCIを活用した認知症検査ツールのマニュアル化および評価法』 (第162回研究会) |
辻 恵梨香,岡 耕平(滋慶医療科学大学院大学) | 『認知症のある高齢者に対し介護職員が用いる方便的欺瞞の分類』 (第165回研究会) |
進藤 綺乃,吉野 孝(和歌山大学), 宮部 真衣(公立諏訪東京理科大学) | 『英語の飲食関連Webサイトを用いたおいしさを表すことばの日英対訳手法の提案』 (第169回研究会) |
當間 奏人,米村 俊一(芝浦工業大学) | 『遠隔グループワークにおけるアイディア創出支援システム-遠隔話者の注視エリア共有機能がコミュニケーションに与える効果-』 (第171回研究会) |
古川 善也、苅田 知則、八木 良広(愛媛大学), 仙波 周一郎, 佐伯 龍雄, 大西 映子(デジタルピア) | 『重度運動障害者の欲求推測システムの開発5 -表出反応や環境情報を統合した欲求推測システムの検証-』 (第174回研究会) |
安岡 美佳(ロスキレ大学), 阿久津 靖子(MT ヘルスケアデザイン研究所) | 『福祉機器評価プロセスと当事者を巻き込んだコミュニケーションの実践分析』 (第179回研究会) |
中谷 桃子, 石井 陽子, 中根 愛, 高山 千尋(NTT), 林 友佳(公立はこだて未来大学) | 『グループ対話における参加者満足度向上とアウトプットの質向上に向けて』 (第179回研究会) |
藤田 俊、志築 文太郎(筑波大学) | 『クロッシングによる選択を用いた表示面積の小さい仮想現実向け1次元キーボード』 (第181回研究会) |
田中 貴紘(名古屋大学)、藤掛 和広(中京大学)、吉原 佑器、Nihan Karatas、青木 宏文、金森 等(名古屋大学) | 『日常生活での継続使用によるドライバの運転行動とエージェントへの印象評価の変化』 (第182回研究会) |
赤坂 文弥(産業技術総合研究所) | 『リビングラボ実践を支えるインフラの構築に向けて:リビングラボ研究の現状と今後に関する考察』 (第184回研究会) |
藤野 秀則(福井県立大学) | 『作業遂行時の指差呼称がもたらす作業後の不安軽減効果』 (第189回研究会) |
山元 佑京、大本 義正(静岡大学) | 『筆跡情報の多変量解析による幼児のASDスクリーニング特徴の探索的検討化』 (第195回研究会) |
稲垣 早紀、森田 大樹、瀬島 吉裕(関西大学) | 『場の盛り上がり推定モデルを用いた背景色変化による場の雰囲気表現システムの評価』 (第200回研究会) |
田岡 祐樹、中谷 桃子(東京工業大学)、南部 隆一(東京工業大学/ACTANT)、津久井 かほる(ACTANT)、大和田 茂(ソニーコンピュータサイエンス研究所)、長谷川 晶一、佐藤 巧、菊地 駿佑、齊藤 滋規(東京工業大学) |
「保育室を再現したデジタルツイン空間での共創デザインワークショップ手法の探索」 (第201回研究会) |
上堀 まい、伊藤 弘大、伊藤 雄一(青山学院大学) | 『下唇周辺への温度提示による苦み飲料に対する食味認知変化』 (第203回研究会) |
特別賞
ヒューマンインタフェースシンポジウム2011 実行委員 |