20世紀は機械の世紀ともいわれ,限りなく多様な機械が発明され,改良されてきました.高度で専門的なシステムが開発される一方で,一般の利用者を対象とする自動機器や情報機器が普及し,使いやすく分かりやすい機械,人に優しい機械の重要性が認識され,ヒューマンインタフェースという技術が生み出されました.その結果,職場でも家庭でも,仕事にも遊びにも,若者も年寄りも,日常的に自動機器や情報機器を活用するようになってきました.それとは気付かないところで活躍している機器も少なくありません.またポケベル,携帯電話のように人々が身に着けて持ち歩くほど身近なものも多くなってきております.身近な自動機器や情報機器との交わりはますます広がり,道具や目的達成の手段としてよりも,生活環境の一部としてゆりかごから墓場まで人々に親しまれていくものになっていくことでしょう。人間環境の一部に組み込まれる機械には,使う人に便利であるだけでなく,使わない人にも喜ばれるものであり,使わない時にも邪魔にならないこと,更にゆとりや文化のかおりが求められます.ハイテク機器を人にあわせて開発するのがヒューマンインタフェースです.21世紀は人の世紀,その要となる技術がヒューマンインタフェースです.
ヒューマンインタフェースは技術と人との関係に関する学術であり,また技術を提供する立場だけでなく,技術の受け手の立場からの研究、評価を重要視しております.そのためには理工的なものの原理と共に,人文的な人の原理を生理,認知,心理,文化,社会のレベルで取り入れ,さらに感性や魅力を活性化するデザインなど幅広い横断的な学術組織によって支えられる必要があります.
ヒューマン・インタフェース部会(計測自動制御学会)では,ヒューマン・インタフェース・シンポジウムと関連事業(研究会,会報,研究論文集,国際会議)を進め,14年間にわたり34を越える幅広い学協会の協賛をえて,当該分野ではわが国を代表する学会活動に成長することができました.これらの成果を継承発展させるために,ご支援いただいた学協会と識者の賛同をえて「ヒューマンインタフェース学会(Human Interface Society)」を設立し,学際的な開かれた学術組織としての活動を強化することになりました.」
新しく発足するヒューマンインタフェース学会は,シンポジウム,講習会,研究会,国際会議等を開催し,機関誌,研究論文集の発行や,WWWなど電子広報による世界への情報発信などの事業を通して,21世紀の学術と社会の発展に重要な貢献をしていきます.